『第2回インディーアニメクロスX! in渋谷パルコ』開催目前!個人作家たちが巻き起こす新風に、刮目せよ!

コラム
※画像はイベント関連X(旧Twitter)の@indie_animeより

 2023年9月22日より、東京・渋谷パルコにて『 第2回インディーアニメクロスX!』が開催される。

 アニメ作家のこむぎこ2000さんと、イラストレーター・はなぶし(渡邊巧大)さんの2人が企画した本イベントでは、2023年2月に開催され1,000人近くの申し込みで注目を集めた『インディーアニメクロス!』をよりパワーアップした展示会や、特別ゲストに『映像研に手を出すな!』の作者・大童澄瞳さんらが登場するトークイベントも実施される予定だ。開催期間では、インディーアニメカルチャーを台頭する総勢100名のクリエイターが参加した図録「indie_anime 2023」の発売も予定されている。

  本記事では、そんな『第2回インディーアニメクロスX!』の概要と発起人のプロフィール、イベント開催の背景や個人的に思うインディーアニメの魅力などについて、末筆ながら語っていこうと思う。

イベント発起人、アニメ作家・こむぎこ2000

2020年に投稿され話題になった、こむぎこ2000さんの自主制作アニメ(こむぎこ2000さん Xアカウントより

 イベント発起人のこむぎこ2000さんは、2000年生まれのアニメーション作家。ロックバンドNEEの楽曲『不革命前夜』や、ずっと真夜中でいいのに『勘ぐれい』などのMVも手掛けている。独特の色使いとノスタルジー溢れるタッチで描かれるアニメーションが人気を博し、現在X(旧Twitter)のフォロワーは30万人を超える。

こむぎこ2000さんが携わったMV 『不革命前夜』 – NEE ※YouTubeより
同じくこむぎこ2000さんがアニメーションを手掛けたMV -『勘ぐれい』 ずっと真夜中でいいのに。(ZUTOMAYO – Hunch Gray)※YouTubeより

 こむぎこ2000さんは、2020年からXのアカウント「indie_anime」を運営しており、個人クリエイターたちに#indie_animeのハッシュタグをつけた投稿を促すことで作品の拡散を続けている。

 イベントのコメントでは
《インターネット上に漂っていたそれぞれの作品が「インディーアニメ」という言葉で繋がれるようになりはじめ、僕の身の回りでは作家同士が交流を持つ機会も増えました。​
 そんな界隈の受け皿になれるイベントを作りたいと思ったのが「クロスX!」のはじまりです。ひとりでアニメを描いていた当時の自分が喜んで足を運ぶような場になりました。ひとりでアニメを描いていた当時の自分が喜んで足を運ぶような場になりました。​ぜひお越しください!​》(PARCO MUSEUM TOKYO SHIBUYA公式サイトより)と語った。

現実逃避から生まれた同人画集。イラストレーター/アニメーター・はなぶし

 イラストレーター・アニメーターのはなぶしさんも、本イベント企画のひとり。もともとは東映アニメーションに所属し、ドラゴンボールシリーズやプリキュアシリーズ等の有名タイトルにも参加。キャラクターデザインや作画監督など幅広く担当していたが、2019年ごろは自身のキャリアに限界を感じ、悶々とした日々を過ごしたという。

 そんなとき、現実から逃げるように夜な夜な会社のコピー機でスキャンして作った同人誌が、はなぶしさんの代表作でもあるオリジナル同人画集『ピギーワン KUNG-FU-PIGGY ONE』だった。画集はカラーページを含む総ページ数114Pにものぼり、コミックマーケットで作品集が配布、BOOTHなどでも販売され、瞬く間にSNSで話題となった。

クリエイターズマーケット『BOOTH』より

 その後2022年には、『アンリアルライフ』の作者でゲームクリエイターのhako 生活とタッグを組み、ゲーム『ピギーワン SUPER SPARK』のクラウドファンディングを実施。目標は早々に達成し、ゲームは2023年内の完成を目標に鋭意制作中だ。

同人画集を基に製作が決定したゲーム『ピギーワン』(はなぶしさんのXアカウントより

 今回のイベントについては《今、SNSを開けば多種多様な”indie_anime”が溢れています。僕もそれなりに長い期間アニメの世界に身を置いていますが、こんな楽しい世界が来るとは想像していなかった!アニメーション史100年の中で、今アニメ制作者人口は間違いなく一番多い。このシーンの先に生み出されるまだ見ぬ名作。それを作る誰かがこの場所にいるかもと思うとワクワクします!​》(PARCO MUSEUM TOKYO SHIBUYA公式サイトより)と語っている。

時代と共にユーザーに浸透してきた、“インディーアニメ”

  かねてから日本における「インディー」と言う言葉は、インディーゲーム、インディーバンドのように“自主制作”“独立した”“小規模”といった意味合いが一般的。そして2020年より“インディーアニメ”という言葉が徐々にユーザーの興味を惹くようになったのは、間違いなくこむぎこ2000さんの功績が大きい。先述の通り2020年から「#indie_anime」のハッシュタグ活動を始めているが、当初は「自主制作アニメーション部」というアカウントにおける活動のひとつとして取り組んでいたという。

2020年の投稿

「#indie_anime」のハッシュタグをつけるだけで参加できる参入障壁の低さも相まって、Xで検索すると、1日に数10件以上の自主制作アニメを見ることができる。二次創作、オリジナル、2D、3Dなどジャンルは様々。そのほとんどは短編のシーンを切り抜き投稿している場合が多いが、あえて粗々しく描写したキャラクターや壮大な情景、ビビットなタッチ、ティール&オレンジを基調としたシネマティックな色彩と、クリエイターごとに特徴が滲み出ている。インターネットという広大な海に漂う作品の一つひとつが、それぞれ唯一無二の輝きを放っている。

時代と共に作家の活躍の場を広げた、“インディーアニメ”

 これまでは“美大や専門学校を出て、アニメ制作会社に入る”という流れが一般的であったアニメ作家のキャリアは、時代と共に進化を続けている。CLIP STUDIO PAINTをはじめとするデジタルツールの発展により、少人数でもひとつのアニメーションを作れるようになった。また動画サービスによるイラスト講座は誰でも簡単に受講でき、自分で学んだ事をSNSに投稿し、ユーザーからフィードバックを貰うことができる時代になった。

 インディーアニメ作家の活動の場も広がり、先に説明したこむぎこ2000さん、はなぶしさんのように、最近では音楽アーティストのPVをインディーアニメ作家が担当することは珍しくない。『テレキャスタービーボーイ』(すりぃ feat.鏡音レン)や『錠剤』(TOOBOE)のMVを担当したcoalowlさん、『恥さらし』(syudou)のMVを手掛けたsakiyamaさんなど、テレビや劇場アニメ以外の場であっても“アニメーション”の力が留まることはない。

coalowlさんが手掛けたMV『テレキャスタービーボーイ(long ver.)』すりぃ feat.鏡音レン ※YouTubeより
sakiyamaさんが手掛けたMV『恥さらし』(【syudou】) ※YouTubeより

最後に

 デジタルツールの発展、SNS上での繋がりを求める現代、動画配信サービスを通したアニメブーム……キャッチコピー「戦ぐ、アニメーションの新風!」が巻き起こることで、インディーアニメは今後より注目されていくだろう。

 今後のアニメ業界の発展を見据えたいのであれば、日本が誇る作家たちの軌跡を垣間見たいのであれば、「#indie_anime」を投稿しているアカウントを見つけたら手あたり次第フォローしてほしいくらいだ。そしてその熱量を肌身で感じてみたいと少しでも思ったとしたら、インディーアニメクリエイターたちが巻き起こす新風を間近で感じられる本イベントに、ぜひ足を運んでみてはいかがだろうか。

■イベントの概要

・イベント期間:2023年9月22日(金) 〜 10月9日(月)
・会場:渋谷PARCO B1F GALLERY X BY PARCO (東京都渋谷区宇田川町15−1)​
・営業時間:11:00〜21:00 
※入場は閉場時間の30分前まで ※最終日は18:00閉場 ​

・入場料:700円(税込)
※入場特典「ランダム缶バッジ」付き 
※小学生以下無料 
※小学生以下のみでの入場禁止​

・事前予約チケット
2023年9月22日(金)~9月24日(日)、9月29日(金)~10月1日(日) は事前予約制

・お申込みURL:https://t.livepocket.jp/t/q7fel
※LivePocketチケットページ

※事前予約チケットはお一人様2枚までの購入が可能です。

・主催:パルコ
・企画:こむぎこ2000、はなぶし
・プロデュース:ワタナベミズキ
・制作プロダクション:CAMBR

・アートワーク参加クリエイター
coalowl / G子 / JINØ(ジノ) / 𝓷𝓲𝓛 / Ocowa / sakiyama / えいりな刃物 / こむぎこ2000 / ゴル / しまぐちニケ / つづつ / はなぶし / はるまきごはん / まご山つく蔵 / ヨウヘイ / りく Ligton / 革蝉 / 金属8g🐝 / 巡宙艦ボンタ / 小津 / 植草航 / 仁保知行 / 津田(tsuda)​

(順不同・敬称略)​

参照元

PRTIMES:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000002584.000003639.html
パルコ公式:https://art.parco.jp/galleryx/detail/?id=1289
KUNG-FU-PIGGY STORE:https://kung-fu-piggy-store.com/

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