TVアニメ『ダンダダン』感動の第7話。無償の愛と絶望ひしめくアクさらの前世は、静寂で表現される

アニメ
©龍幸伸/集英社・ダンダダン製作委員会

ただいま絶賛放送中のテレビアニメ『ダンダダン』(集英社)第7話が14日深夜に放送された。

6話にて登場した怪異・「アクロバティックさらさら(通称・アクさら)」と戦っていたモモとオカルンは、激しい戦いの末に、アクロさらをアイラから引き離すことに成功する。しかし肝心のアイラは、妖怪に食われた影響で絶命していた。そんなアイラの窮地に、アクロバティックさらさらから、驚きの提案が…。(公式サイト参照)

SNSなどでも話題になっていたように、アクさらが怪異と化してしまうまでの過程が、作画・演出そのどれをとってもハイレベルなシーンとなっていた。サブスクで7話を見終え真っ先に筆をとっているのだが、まだ涙が止まらない。とにかく、7話を見ていない人は、サブスクでもジャンプラでも何でもいいから(但し違法は絶対ダメよ)見てほしい。

↓ここからは是非7話をみてから閲覧していただきたい。

7話の中盤ではアクさらの生前の記憶が流れる。
アクさらはもともと一人の娘を育てる母親だった。
生活は貧しく、時間や身体を売ることで何とか生きていく中で、娘の笑顔と存在は、アクさらにとって計り知れないほどの希望だっただろう。
娘が好きなのであろうバレエを教え、ポワント(バレエ用の靴)を買ってやり、休日は仕事で疲れていても娘のいたずらには嬉々として遊んでやる。

金以外は何でもある、とでもいったところだったが、そんな日常は突然終わりを告げる。おそらく借金の取り立て?のような男たちに殴られ、蹴られ、挙句の果てには娘までも連れ去られてしまうのだ。

もしかすると、アクさらは過去に、人生をバレエに全振りしたものの、夢半ばあきらめてその夢を娘に託していたのかもしれない。
バレエに捧げてしまったゆえに良い給料の仕事に就けず、なし崩し的に借金してしまったのかもしれない。
もしくは、何らかのトラブルで借金を負わされたかもしれない。
ここまでのくだりは、音も、映像も、声も、最小限の情報量。無駄な情報を一切取り入れず、どちらかというと終始、静寂なシーンが流れていく。
このシーンには正解はない。視聴者の想像力に委ねるために最大限まで要素を削り、真っすぐな感情に訴える。
それはくしくも、アクさらの過去の記憶を直接脳で感じている、アイラとモモの追体験さながらだ。

「もっとかわいい服を買ってあげたかった」「私が不幸にしたんだ」「ごめんなさい」
そんな自責の思いを吐露するアクさらだったが、蘇生されたアイラが近寄り、アクさらを抱きしめこう伝える。
「お母さん、愛してる。宇宙でいちばん幸せだったから」
そう伝えられたアクさらは、煙のように、はたまた雪景色のように、サラサラと消えていく。
幼いころに母を無くしているアイラは、自分の母に伝えられなかったことをアクさらにも伝えたかったのかもしれない。
もしくは、アクさらの生前の記憶にあてられ、衝動的に感謝を伝えたかっただけなのかもしれない。
その正解は、各々が決めればいい。そんなメッセージを感じる一幕だった。

親から子への無償の愛。そして、寂しくても、一緒の時間が少なくとも、何よりも幸せで宝物だった親子のひと時。
大丈夫。あなたの思いは、ちゃんと伝わっている。誰かにそう、教えられるかのような感動的な演出であった。

次回予告では、「ばあちゃん、お腹すいた」とモモが星子に伝える。
その声色はいつものモモと打って変わり、懐かしさと、感謝と、慈愛にも満ちた、優しい声だった。

【ON AIR】
10月3日から毎週木曜深夜0:26~
MBS/TBS系28局「スーパーアニメイズムTURBO」枠にて全国同時放送

【STREAMING】
毎週木曜日25:00~各配信サイトにて順次配信開始

【STAFF】
原作:龍幸伸(集英社「少年ジャンプ+」連載)
監督:山代風我
シリーズ構成・脚本:瀬古浩司
音楽:牛尾憲輔
キャラクターデザイン:恩田尚之
宇宙人・妖怪デザイン:亀田祥倫
色彩設計:橋本 賢、近藤牧穂
美術監督:東 潤一
撮影監督:出水田和人
編集:廣瀬清志
音響監督:木村絵理子
アニメーション制作:サイエンスSARU

【MUSIC】
オープニングテーマ:Creepy Nuts「オトノケ」
エンディングテーマ:ずっと真夜中でいいのに。「TAIDADA」

【CAST】
モモ<綾瀬 桃> :若山詩音
オカルン<高倉 健> :花江夏樹
星子 :水樹奈々
アイラ<白鳥愛羅> :佐倉綾音
ジジ<円城寺 仁> :石川界人
ターボババア :田中真弓
セルポ星人 :中井和哉
フラットウッズモンスター:大友龍三郎
アクロバティックさらさら:井上喜久子
ドーバーデーモン :関 智一
太郎 :杉田智和
花 :平野 文
(C)龍幸伸/集英社・ダンダダン製作委員会

タイトルとURLをコピーしました