エンタの名言①マンガ『HUNTER×HUNTER』より

コラム

道草を楽しめ 大いにな ほしいものより大切なものが きっとそっちに ころがってる」
『HUNTER×HUNTER』より 登場人物:ジン=フリークス

 日本が誇るエンタメコンテンツの中から珠玉の一言を厳選したコンテンツ「エンタ名言」。仕事に、勉強に、恋愛に、子育てに…日々を頑張る皆さんに向けて、アニメ/ゲーム/マンガ/VTuberらの名言を心を込めてお届けします!

 第1回のエンタ名言は、マンガ『HUNTER×HUNTER』(冨樫義博/集英社)に登場する、主人公ゴンの父親、ジン=フリークスの言葉から。

 冒頭の言葉はマンガ第32巻にて、ジンが息子であるゴンと共に世界樹の頂上で初めて話し合うシーンで登場します。アニメ版(2011年~)ではこの言葉で番組を締める形となり、1巻から謎めいていたジンの生き様や人柄が凝縮された言葉でもありました。

 巷にあふれる自己啓発書には、「目標達成の技術」「理想を叶える方法〇選!」「人生の逆算思考」等々、いかに計画を立てて準備し、成功を成し遂げられるかというノウハウが溢れています。それらはもちろん大事ですし、ビジネスや勉強、ひいては人生では、この思考は大いに役に立ちます。むしろそれが無いとお話にならないくらいの環境もあるかもしれません。

 ただ、成し遂げたいことに向かうための最短距離だけが人生に彩りを与えてくれるかというと、私はそうではないと感じます。

 就職でも、恋愛でも、仕事でも、家庭でも、「こうするべき」とされることが叶わないことは幾らでもある。目指す目標と関係のない仕事をすることもあるし、外でランニングしようと思ったら雨の日だってあるし、旅行するはずが、いつまでも友人と喋ってるだけの時もあるでしょう。でもそんなときに限って、自分が想像もしなかった未知の世界を楽しめたという経験が、皆さんの中にも少なからずあるのではないでしょうか?

 私も昔、「メディアの仕事がしたい!」と息巻いてと転職活動をしましたがうまくいかず、想定していた広告業界とは違うゲーム業界で働くことになりました。一見すれば最短距離ではない出来事でしたが、色んなゲームに触れ、作る人の苦悩と喜びを知り、ゲームが売り手・買い手ともに大きな影響を与えることを知ってからは、ゲームをはじめとするポップカルチャーによりのめりこむようになりました。その会社での経験がまさに、このメディアを立ち上げたきっかけにも繋がっています。

 冒頭のジンの言葉の前には、こんなセリフがあります。

「オレがほしいものは今も昔も変わらない 目の前にない“何か”だ」

 作品の考察的な意味はさておき、私はジンの言葉を“目の前にない何かが欲しいなら、たとえ道草に見えることだって、全力で楽しめ”という意味で解釈しています。先は気にせず目の前のことに取り組んでみる。効率が良い・悪いだけで判断するのではなく、“なんか面白そう!”と思えばやってみる。それが思ってたことと違っても、未知の経験としてしっかりあなたの心に刻まれるはずです。

 長い長い人生に疲れた人がもしいれば、無理に前だけ見ず、あえて横道にそれてみてはいかがでしょう。それこそが、人生大いに楽しむためのヒントになるかもしれません。

タイトルとURLをコピーしました