「配信」「VTuber」という新しいエンタメの形が世界中で大きな存在感を放ち、今やインターネットコンテンツにおける強者としての姿さえ魅せるようになった。特に黎明期からVTuberシーンをけん引するホロライブは、雑談・ゲーム・歌といった多彩な活動を通じて、日々リスナーを魅了している。そしてその活動の裏側では、スーパーチャットを中心とした投げ銭文化が大きな支えとなり、配信者の姿勢や個性が数字として可視化される。
本記事では、ホロライブ所属ライバーの2025年1月~6月の投げ銭収益をランキング形式で紹介。金額は韓国の統計サイト「PLAY BOARD」が公開するデータを基にした推定値であり、手数料や広告・グッズ収益などは含まれない。あくまで一つの参考指標として、その歩みと個性を振り返ってほしい。
10位:白銀ノエル【推定1385万1922円】
10位は1385万円で白銀ノエル。2019年デビュー、ホロライブ3期生「ホロライブファンタジー」の一員であり、ファンからは“団長”の愛称で親しまれている。脳筋騎士を自称し、「こんまっする~!」の挨拶でもおなじみ。豪快なキャラ性ながら、普段の語り口はおっとり優しく、そのギャップに惹かれるリスナーは後を絶たない。
配信は雑談・ゲーム・歌に加え、ASMR配信にも力を入れており、KU100をはじめとした高級音響機材に投資する“機材ガチ勢”としても有名。累計1500万円以上を費やした環境から生み出されるASMRは、団員たちを虜にする一方、歌枠では音程迷子になり“朗読会”といじられることもしばしば。だがその伸びしろを笑い飛ばしながら挑戦を続け、いまやオリジナル曲や3期生ライブでの難曲披露を成し遂げるまでに成長している。
好物は牛丼で、案件やマイクラ建築にも牛丼要素を取り入れる徹底ぶり。晩酌配信では九州出身らしい酒豪ぶりを発揮し、陽気に飲み過ぎて防音室で寝落ちしたエピソードも団員の語り草だ。対人関係では同期の不知火フレアを強く信頼し「ノエフレ」と呼ばれる絆を築き、大空スバルへの“アヒージョ”ムーブや猫又おかゆへの熱いファン発言など、ガチ恋エピソードにも事欠かない。
9位:角巻わため【推定1391万3461円】
9位は1391万円で角巻わため。2019年末デビュー、ホロライブ4期生の“吟遊詩人ひつじ”。挨拶は「こんばんドドド~」、ファンネは“わためいと”。
ふわっと癒やし系のトークから一転、歌枠では声量と安定感で叩きつける歌の人。週末の歌枠「わためぇ Night Fever!!」や月曜朝投稿「わためのうた」を軸に、オリ曲「愛昧ショコラーテ」「曇天羊」ほか歌ってみたも大量投下。2024年には東京ガーデンシアターで2ndソロライブを成功させ、推し活が縁でポルノグラフィティ提供曲まで手に入れる“夢叶え体質”でもある。
配信は長尺上等。深夜に始めて朝まで喋り倒し&歌い切り、スパチャ読みも丁寧に続ける“配信モンスター”。かつての“クソザコ回線”は今や持ちネタ。ゲームはのんびり系からホラーまで幅広く、マイクラでは建築&イタズラ好きの“わたおじ”面が顔を出す。
見た目はもふもふ、内側は芯が強くて涙もろい。清楚枠(自称)から“ギリギリ悪くない”ラインを攻めるボケまで、ギャップで沼らせるのが角巻わため。歌・雑談・長時間の三拍子で、今日も深夜帯の画面を温め続ける。
8位:AZKi【推定1442万8063円】
8位はホロライブ0期生のAZKiで、1442万円。8か月連続オリジナル曲リリースに始まり、「WHiTE/BLaCK/ReD」で色合いを切り替える作家性、そして2024年のワンマン「声音エントロピー」まで……。歌のクオリティと積み上げてきた実績はホロライブ内でも桁違い。クリアに抜ける高域、芯のある中低域、ブレス運びの巧さで、ポップスからロック、打ち物系まで音源栄え&ライブ栄えを両立する“歌の解像度”が高いタイプ。
その歌声を駆使したもうひとつの武器が声優/ナレーション力。マリン&フブキ主催の「セカワー声優オーディション」では、プロ声優さながらの演技力で一気にその実力を知らしめ、以降は天の声・司会・ドラマパートを難なくこなす“声の職人”に。Yahoo!カーナビ「推しドラ」で車載ナビ音声を担当、holoGTAでは一夜で客席を掌握するロールプレイを披露、さらに要望に応えて挑んだ罵倒ASMR(メン限)は同接8万級を叩き出すなど、“演じ分け”のレンジがとにかく広い。
MCでは柔らかく、歌に入れば凜として、芝居では空気を一変させる。右手にマイク、左手に地図(初ネタより)、歌で世界を塗り替え、声で物語を立ち上げるAZKi。次のステージでも、開拓者たちを新しい景色へ連れていく。
7位:FUWAMOCO【推定1478万939円】
7位は1478万円でFUWAMOCO(フワワ & モココ)。
EN三期生「Advent」の魔界の番犬シスターズにして、ホロライブ初の双子ライバー。チャンネルも配信も基本は“2人で1つ”。ひとり用ゲームならモココが操作×フワワが進行&コメント拾い、協力プレイなら2人で畳みかける。この“二人三脚配信”が唯一無二の魅力だ。
2人とも日本語ペラペラ&2000年代ネット文化にドンピシャで強く、昭和歌謡~電波ソングまで濃すぎるセトリを双子デュエットで合わせてくる。普段は清楚×元気のわちゃわちゃ癒やし空間だが、箱企画やロールプレイになると投獄歴(!?)を思い出す暴れっぷりも顔を出すのがご愛嬌。2024年の3Dお披露目では、息の合った“姉妹レスリング”まで披露して会場をBAUBAUさせた。
キャラの立ち位置は、
・フワワ=お姉ちゃん:落ち着いた声で進行・場のコントロール担当、時々天然で腹黒ムーブ
・モココ=妹:アクティブな声で手を動かす主戦力、ツッコミ&小悪魔気質
下ネタは2人とも超苦手で、holoGTAでの“距離感ゼロ”世界にガチ怯えする純真ぶりもまた尊い。2024年春からは日本拠点でJPコラボも増加中。双子の完全シンクロと微妙な違い、その“間”が中毒性。今日もFUWAMOCO MORNINGから夜の歌枠まで、2人で1つのエンタメを届けてくれる。
6位:戌神ころね【推定1532万9809円】
6位は1532万円で戌神ころね。ホロライブゲーマーズ所属。“都会のパン屋のバーチャル犬人間”としてゲーム配信を主軸に活動し、12時間超の耐久もしばしば。レトロから最新作まで守備範囲は広く、PS2版『龍が如く』や奇ゲー枠、音ゲー、果ては『へべれけ2』の先行生配信を約4時間でクリアするなど実績多数。2020年11月1日にはJPで初の登録者100万人到達を記録した。
体力はボクシング仕込みで、24時間系企画やリングフィット耐久も最後まで走り切る“フィジカルモンスター”。フェスのステージでは前方倒立回転・側転・ノーハンドサイドフリップまで決めるアクロバットぶりを見せた。格ゲーは『スト6』でクラシック操作を選び、配信30分でゴールド→連勝でプラチナ到達。CR主催大会にも招待され、コーチ監修のもと急成長を見せている。
配信では独特の訛りと瞬発ワードで爆笑を量産。名物の「ゆびゆび~」や“圧”芸、レトロ寄りの激渋セトリ歌枠も名物だ。ホラーと虫は大の苦手で“事件性のある悲鳴”が上がる一方、スプラッター映画は大好きというギャップも。おかゆとの「おかころ」は加入前からの名コンビで、コラボやデュエットも多数。海外では『DOOM Eternal』のDOOGイースターエッグなどゲーム界隈からの愛も厚い。
5位:Nanashi Mumei【推定1541万7465円】
5位は1541万円でNanashi Mumei(七詩ムメイ)。Hololive English「-Promise-」のメンバー(旧 -Council-)。役職は文明の守護者。博識な旅梟で、フクロウをモチーフに持つ。基本は直感&好奇心ドリブンの小動物ムーブだが、ひとたびマイク前に立てばオペラ/ミュージカル曲も通る伸びのある歌声で惹きつける“歌強”枠。洋楽中心のゲリラ歌枠はアーカイブが残りにくいものの、初カラオケで世界トレンド入りを果たすなど存在感は濃い。
配信ではゲラで奇声、寝落ち常習、そしてベリー(スイートベリー)への異常な執着が名物。マイクラでは道標にベリーを植えたのが発端で、他人の区画にも増殖させる“ベリー伝道師”として知られる。絵も達者で、可愛いタッチからクリーチャーまで描き分ける画伯ぶりはゲームの必殺技に採用されるほど。普段はシャイで人見知りだが、ソロになると歯に衣着せぬ辛口トークが飛び出し、EN内でも“煽り力が高い”ことで有名。
2025年4月28日をもって卒業(発表は3月28日)。運営との方向性の不一致と、慢性化した喉の不調の療養に専念するためと説明している。かわいさ・歌・アート・混沌の全部を詰め込んだ日常は、確かに“文明の一部”として記憶に刻まれた。
4位:猫又おかゆ【推定1685万45円】
4位はホロライブゲーマーズ所属の猫又おかゆ。1685万円となった。“おにぎり屋の孫猫”にして、ゆるっとした低音ボイスが特徴のバーチャルゲーマーで、まったりしたトークと全肯定おかゆと呼ばれる包容力でリスナーを癒してきた。
ASMRではホロ随一と評される色気を発揮しつつ、ゲームの腕前も折り紙付き。懐かしのRPGから奇ゲーまで幅広く、初心者への解説もわかりやすいと評判だ。PhotoShopを駆使したサムネ作成スキルも高く、他メンバーに指南することもしばしば。歌はしっとり系からワイルド系まで対応でき、ソロもデュエットも自在にこなす。
性格は自由奔放でいたずら好き。コラボでは天然ボケに乗っかるだけでなく、S気質を発揮して後輩を翻弄することも。一方でリスナーや仲間に対しては限りなく優しく、笑い声が「ヒヨコの鳴き声」に聞こえるほどゲラな一面も愛されている。
同期の戌神ころねとはデビュー前からの長い付き合いで、「おかころ」コンビとしてホロライブ屈指の“元祖てぇてぇ”カップル枠を築いた。2025年5月にはYouTube登録者数200万人を突破。包容力、色気、そしてゲームスキルの三拍子で、今なお夜更けのリスナーを虜にし続けている。
サムネぇぇぇぇぇぇぇっっっっっっっ!!!!!
3位:博衣こより【推定2194万1609円】
3位は2194万円で、博衣こより。ホロライブ6期生《秘密結社holoX》の研究者で、自称「holoXの頭脳」。サバンナ生まれのコヨーテとして、人間観察と検証を愛する配信モンスターでもある。初配信から段取りの良さと広いオタク知識を見せ、2023年9月24日に登録者100万人を達成。Twitter凍結の“洗礼”時は名前欄で同期やリスナーとやり取りを続け、解除時には「#溶けろこより」が世界トレンド入り。
配信は長尺上等で、2022年=約1800時間/2023年=2000時間超と桁違い。明るい高音から母性ボイスやショタ声まで出せる喉の強さで、悲鳴芸「holoXのやかん」も名物。頭脳戦・暗算・麻雀に強く、兎田ぺこらから「ホロライブの頭脳」の称号を授与。一方ゲームプレイでは焦って“視野狭窄→自滅”のポンも多く、マリオ系での大散財(SMB3で1080機など)は伝説級。
面倒見がよくコラボにも積極的で、空気が重い場にも自ら入り立て直すコミュ力も強み。研究熱心・長時間・撮れ高体質——この三拍子で、今日もホロ箱のタイムラインを埋めにいく。
2位:沙花叉クロヱ【推定2558万3594円】
2位は2558万円で沙花叉クロヱ。3位の博衣こよりと同じくホロライブ6期生《秘密結社holoX》で、愛称は「さかまた」。シャチモチーフのパーカーと仮面がトレードマークだが、実際の声は甘々ボイス。デビュー当初は低音クール系を想像されていた分、そのギャップでリスナーを一瞬で沼に落とした。
歌ではキュートからイケボまで幅広くこなす声域を持ち、作詞作曲にも挑戦。TikTokで話題となった「人生リセットボタンぽちーw」は自身初の作詞作曲曲だ。歌枠では可愛い声から急にイケボへ切り替えるなど、印象を180度変えるギャップでファンを驚かせてきた。
一方で配信は伝説的なポンコツスタート。初配信ではミュート忘れ・BGM切り替え失敗・タグ名の選定ミスと役満を揃え、視聴者に強烈なインパクトを残した。風呂嫌いエピソードや、飼育員(リスナー)との「風呂入れ」プロレスも定番となり、愛すべきポンキャラとして親しまれた。
2023年2月に登録者100万人突破。だが配信や収録の増加で喉への負担が限界を迎え、2024年11月、活動3周年の日に2025年1月26日をもって配信終了を発表。やりたいことリストを消化し、同期や後輩、リスナーに感謝を伝えながら最後のライブを完走。最後のツイートは「みんなに、シャチあれ!」。
1位:紫咲シオン【推定2628万5941円】
1位は2628万円で紫咲シオン。ホロライブ2期生の魔法使い担当で、子供っぽい見た目と甘い声、そして乱雑な口調が特徴。リスナーやホロメンを煽ってはケラケラ笑う“クソガキ/メスガキ”キャラとして知られる一方、記念配信では真っ直ぐな感謝を伝えるギャップが魅力だ。同期の湊あくあと組むあくシオでは息の合った煽り合いを披露。ホロライブ屈指の“人たらし”でもあり、夏色まつりや宝鐘マリンをガチ恋寸前にさせ、沙花叉クロヱにとっては入社前からの推し(塩シャチコンビ)として深い縁を築いた。
2022年4月に登録者100万人突破。2023年末にはSNS疲れや義務感から活動を休止するも、2024年8月に復帰。その後、2025年3月6日、6th Fes直前に卒業予定を発表。方向性の違いに加え、休止中から続いていた心身の不調が決め手となった。不眠に悩まされながらも「壊れるまで活動してもいい」と考えていたが、ファンの心配の声に触れ「健やかに生きられる場所に行くことで安心してもらいたい」と環境を変える決断を下したという。
葛藤も大きく、「もし自分が辛い記憶になるなら忘れてほしい」と悩み続けたが、同期や先輩たちは彼女をしっかり送り出すことを選んだ。2025年4月26日の卒業ライブでは、活動を終えたクロヱがサプライズで登場し話題に。最後の1週間は体調を押してまでやり残しを埋め、「魔界学校の卒業証書」を手に新たな世界へ飛び立った。
ラストメッセージは「またどこかで。」――。卒業後もホロメンとの交流は続き、戌神ころねの不安に寄り添い、水宮枢には「また遊ぼうね!約束!」と声をかけるなど、その情の深さをのぞかせている。ツンデレでクソガキで、そして誰よりも仲間想い。紫咲シオンの“魔法”は、ホロライブの歴史に確かに刻まれた。
まとめ
ランキングを振り返ると、長時間の雑談や歌枠で積み重ねた努力、音響機材への投資や独自の表現スタイル、そして仲間との絆が数字に表れていたと感じられる。中には、惜しまれながら卒業や活動終了を迎えたライバーもいたが、その最後の雄姿は確かにリスナーの記憶に刻まれた。画面越しに届けられた声や言葉は単なる収益額以上の意味を持ち、彼女たちが歩んできた日々の証そのものである。今日もまた、新たな物語が配信の光の中で紡がれている。
引用元
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