愛知県名古屋市『八十亀ちゃんかんさつにっき』
©安藤正基・一迅社/八十亀ちゃん製作委員会
放送年月:2019年4月~6月/話数:全12話
安藤正基の4コマ漫画を原作とする、名古屋あるある満載のご当地コメディ。制作は株式会社サエッタ。名古屋に転校してきた東京の男子高校生・陣界斗と、名古屋弁女子・八十亀最中の掛け合いを通して、中京圏の食文化、方言、ローカル企業・施設がテンポよく描かれます。各話短尺の構成で見やすく、地元ネタの密度が高いのが魅力。名古屋出身者にはわかる小ネタが、県外の視聴者には観光ガイド的な役割も果たすバランスの良さで知られる。TVアニメとしては短編枠ながら、シリーズ化されるほどの支持を得ており、気軽に名古屋文化に触れられる入門編としておすすめです!
あらすじ
東京から名古屋へ越してきた高校生・陣界斗は、名古屋の高校で写真部に入部。そこで出会ったのが、猫のように気ままで名古屋弁が濃いヒロイン・八十亀最中。彼女は東京から来た陣に対してなかなか懐かないが、やがて同級生たちとともに名古屋の定番スポットやソウルフードを巡る日々が始まる。味噌カツ、きしめん、喫茶文化のモーニング、地元スーパーやレジャー施設など、身近な題材を題材にネタを織り交ぜつつ、県民性のズレや誤解を笑いに変え、時に愛知・岐阜・三重など周辺県も巻き込みながら、地域の魅力と誇りをコミカルに掘り下げていきます。短い1話の中に観光・生活情報が凝縮され、軽快なテンポで次々と新たな名古屋あるあるが登場します。
作品の見どころ
最大の見どころは、実在の名古屋スポットや店名が頻出する超ローカル密着演出。第1期だけでも「大名古屋ビルヂング」(第1話)、「ヨシヅヤ」(第6話)、「メイチカ」(第11話)などが作中に登場し、EDや各話でもオアシス21、名古屋港水族館、大須商店街、名古屋駅・飛翔モニュメントなどが描かれました。ご当地コラボや市の観光交流特命大使任命など、地域振興との連動も話題に。短編ながら制作陣の現地取材の濃さとネタの切れ味が光り、名古屋観光の事前学習にも最適!
どの地域が舞台になったか
愛知県名古屋市(中区・東区・中村区ほか)。具体例:オアシス21(〒461-0005 名古屋市東区東桜1-11-1/栄駅直結)、中部電力MIRAI TOWER〈旧・名古屋テレビ塔〉(〒460-0003 名古屋市中区錦3-6-15先)、名古屋城(〒460-0031 名古屋市中区本丸1-1)、大須観音(〒460-0011 名古屋市中区大須2-21-47)など。第1期では「大名古屋ビルヂング」(第1話)、「メイチカ」(第11話)等が明確に登場。ED映像や各話カットでオアシス21や大須商店街も描かれます。
愛知県常滑市『泣きたい私は猫をかぶる』
© 2020 「泣きたい私は猫をかぶる」製作委員会
放送年月:2020年6月(配信公開)/話数:全1話(劇場/約104分)
スタジオコロリド制作、佐藤順一×柴山智隆共同監督、脚本は岡田麿里による長編オリジナルアニメ。コロナ禍での劇場公開延期を経てNetflixで世界同時配信され、主題歌「花に亡霊」をはじめとする音楽面はヨルシカが担当。常滑のやきものの町並みや土管坂、商店街の空気感を瑞々しい背景美術で描き、日本の港町の生活感をファンタジーに溶け込ませました。等身大の恋と自己受容をテーマに、視覚効果と色彩設計が心情に寄り添う点が高評価。青春映画としても地方情緒の映画としても楽しめるバランスが魅力です。
あらすじ
クラスメイトの日之出賢人に片想いしている、中学2年の笹木美代(ムゲ)。空元気で突っ走る彼女には、人間の顔と猫の顔を切り替えられる不思議なお面があった。猫の姿になると、日之出に自然体で近づけるが、秘密が深まるほど人間としての居場所は揺らいでいく。常滑の路地や土管坂の風景、焼き物の窯元、海風が吹き抜ける街角の描写を背景に、ムゲは猫としての安らぎと人間としての痛みの狭間で葛藤。やがて猫の世界の掟と交換条件が彼女の運命を縛り、失いかけた自分の心と大切な人に向き合う決意を迫られる。
作品の見どころ
常滑の「やきもの散歩道」を中心に、斜面の路地、登り窯、土管と焼酎瓶の壁で知られる土管坂など実在の景観が多数再現されているアニメです。港町ならではの光の反射や風の匂いまで感じさせる美術は必見!またヨルシカの楽曲が物語の繊細さと痛みの甘さを音で支え、主人公の心の揺れを音楽・色彩で立体化しています。Netflix配信で世界へ届いた背景も話題となり、日本の地方都市の魅力発信としても注目されました。
どの地域が舞台になったか
愛知県常滑市。やきもの散歩道(起点の常滑市陶磁器会館:〒479-0836 常滑市栄町3-8)と土管坂(常滑市栄町4周辺)が主要舞台。映画中盤以降、日之出とムゲが向き合う場面などで土管坂周辺が印象的に使われています。
愛知県名古屋市『終わりのセラフ』
(C)鏡貴也・山本ヤマト・降矢大輔/集英社・終わりのセラフ製作委員会
放送年月:2015年10月~12月/話数:全12話(第2クール)
鏡貴也・山本ヤマト・降矢大輔の漫画を原作に、WIT STUDIOが制作。第1クールに続く名古屋決戦編では、人類と吸血鬼の全面衝突が名古屋市内を主戦場に展開します。重厚な世界観を支えるBGMは澤野弘之。都市のランドマークを戦場にしたスケール感あるアクションと、隊の仲間関係を軸にした青春群像が両立し、ダークファンタジーの中でも街で戦う臨場感が特徴的な作品です。
あらすじ
未知のウイルス禍で大人が滅び、吸血鬼が支配する近未来。日本帝鬼軍に所属する百夜優一郎は、仲間とともに名古屋に進軍。敵将クローリーら強敵が待ち受ける中、任務、友情、憎しみが交錯する。市街地での市街戦は被害を避けられず、隊の選択には常に犠牲の影がつきまとう。優一郎は家族のような仲間を守るため力を求めるが、その代償は大きい。隊の信頼、吸血鬼側の事情、そして人間であることの意味が試される。終盤、敵地突入と救出のせめぎ合いの中で、少年たちはそれぞれの正しさと向き合い、名古屋での戦いは決着へ向かう。
作品の見どころ
久屋大通公園や栄の地下街(セントラルパーク/クリスタル広場周辺)、中部電力MIRAI TOWER(旧・名古屋テレビ塔)、名古屋市役所・愛知県庁周辺など実在の街区がモデルとして数多く登場。実在の街での超常バトルという映像的面白さに加え、隊の犠牲や選択が積み重なる群像劇の緊張感が高評価を得ています。
どの地域が舞台になったか
愛知県名古屋市(中区・東区・北区・中村区ほか)。
例:中部電力MIRAI TOWER(〒460-0003 中区錦3-6-15先)、久屋大通公園(中区丸の内3丁目周辺)、名古屋市役所本庁舎(〒460-8508 中区三の丸3-1-1)、県営名古屋空港(〒480-0202 西春日井郡豊山町大字豊場字林先)。名古屋決戦編(第13~24話相当)を通して、栄一帯や官庁街、名駅西側などが戦闘・作戦シーンの舞台となります。
愛知県名古屋市・豊田市・犬山市など『シキザクラ』
©シキザクラ製作委員会
放送年月:2021年10月~12月/話数:全12話
中京テレビ×サブリメイション制作の地域発オリジナルアニメ。現代日本に現れるオニと戦う少年たちを描くSFアクションで、名古屋・豊田・犬山など愛知の名所を大胆に取り入れています。モーションキャプチャベースの演技に手描きを重ねるハイブリッド作画や、地元ロケ―ションを活かした背景美術が特徴で、地元テレビ局とCGスタジオの協働で、地域文化とオリジナルアニメの可能性を切り拓いた意欲作として注目を集めました。
あらすじ
平凡な高校生・三輪翔は、偶然出会った巫女・明神逢花を守るため、異形の鎧ヨロイの力を宿し、オニと戦う装着者となる。仲間との連携、不安と憧れが交錯する青春の只中で、翔は戦う意味と自分の弱さに向き合う。物語は秋の紅葉と春の桜が同時に見られる小原の四季桜や香嵐渓、博物館 明治村、そして名古屋市内(オアシス21周辺)などを背景に展開。祭礼・伝統とデジタルの対比、家族との関係、守りたい人を守る覚悟が、地域の季節感とともに描かれる。
作品の見どころ
最大の見所は愛知の四季の写し方。ライトアップされた香嵐渓の紅葉、犬山・明治村の歴史建築、名古屋の近未来的ランドスケープが、鎧アクションの躍動感を増幅してくれます。局×地元発の制作体制ゆえ、観光案内に終わらない物語の舞台としての説得力が強く、OP/EDともに疾走感と哀愁で作品のトーンを支えてくれます。
どの地域が舞台になったか
愛知県名古屋市・豊田市・犬山市。
代表スポットと住所:香嵐渓(〒444-2424 豊田市足助町飯盛)、博物館 明治村(〒484-0000 犬山市字内山1番地)、オアシス21(〒461-0005 名古屋市東区東桜1-11-1)。作中では香嵐渓・四季桜・明治村・栄エリアが随所に登場し、戦闘・移動・会話シーンの舞台に。
愛知県名古屋市『名探偵コナン 緋色の弾丸』
©2020 青山剛昌/名探偵コナン製作委員会
放送年月:2021年4月公開/話数:全1話(劇場/約110分)
青山剛昌原作。監督・永岡智佳、脚本・櫻井武晴、制作はトムス・エンタテインメント。4年に一度のWSGを巡る巨大事件を背景に、赤井一家とコナンが奔走する。主題歌は東京事変「永遠の不在証明」。超電導リニアや大規模会場、群衆誘導など現代都市の危機管理をサスペンスフルに描き、名古屋をはじめ東海圏のランドマークも印象的に映ります。
あらすじ
世界の注目が集まるWSG開催に合わせ、日本でもハイパーループ構想のもと超電導リニアの実験走行が計画される。スポンサー関係者が連続失踪する中、主人公の江戸川コナンは事件の影に赤井一家が関わる可能性を嗅ぎ取り、名古屋での大規模イベント会場や駅施設で起きる異常事態に挑む。テロ脅威、巨大インフラ、国家間の思惑が絡み合い、加速する列車と同時に事件も暴走。極限状況でコナンは推理と行動力を総動員し、人命救助と真相解明に挑む。ストーリーは都心の象徴的施設と新交通を舞台に、シリーズ屈指のスケールで展開する。
作品の見どころ
スピード感あるアクションと都市の安全を巡るサスペンスの融合。名古屋の象徴であるオアシス21や中部電力MIRAI TOWER(旧・名古屋テレビ塔)の景観が映画的に活かされ、赤井一家のドラマと重なって都市×家族の二重の緊張を作り出しています。主題歌・東京事変の硬質なサウンドが、物語の張り詰めたトーンを支えるのも聴きどころです。
どの地域が舞台になったか
愛知県名古屋市。象徴的スポット:オアシス21(〒461-0005 名古屋市東区東桜1-11-1)、中部電力MIRAI TOWER(〒460-0003 名古屋市中区錦3-6-15先)。映画本編のイベント・群衆シーンや上空からの構図でこれらが登場。空港・駅周辺も重要な舞台として描かれます。
愛知県名古屋市『Free! -Eternal Summer-』
(C) おおじこうじ・京都アニメーション/岩鳶高校水泳部ES
放送年月:2014年7月~9月/話数:全13話
京都アニメーション制作。競泳に打ち込む高校生たちの青春を描く人気シリーズ第2期。2期では個々の将来やチームの在り方に焦点が当たり、レースの緊張感と友情の機微が丁寧に描写される。作画の水表現、筋肉・フォームの描写、演出の抑揚がシリーズの代名詞で、描かれる大会会場のロケーション再現度も非常に高い作品です。
あらすじ
七瀬遙、橘真琴、葉月渚、竜ヶ崎怜、そして凛たちは、それぞれの立場で泳ぐ意味に向き合う季節を迎える。地方大会、全国の舞台へと歩を進める中で、遙は将来への迷いからレース途中で立ち止まるほどのスランプに陥る。仲間との衝突と和解、個々の進路決断を経て、彼らは再び水に向き合う覚悟を固める。競泳の描写はもちろん、進学や夢、チームの関係性など等身大の悩みも繊細に描かれ、最終回に向けてそれぞれの答えが見えてくる。
作品の見どころ
第9話・第10話の地方大会の会場モデルが名古屋市南区の「日本ガイシアリーナ」。広い観客席や外観の意匠が画面に反映され、会場の空気まで再現されていると舞台探訪で検証されています。全国大会のモデルは大阪のなみはやドームですが、地方大会の躍動と遙の内面ドラマが名古屋の会場で交錯する構図が印象的。音と作画が噛み合うレースシーンの緊張感はシリーズ屈指です。
どの地域が舞台になったか
愛知県名古屋市南区。日本ガイシアリーナ(〒457-0833 名古屋市南区東又兵ヱ町5-1-16/ガイシスポーツプラザ内)が第9~10話の地方大会モデルとして登場。アリーナの外観・導線・周辺の雰囲気が作中に反映されます。
愛知県名古屋市『響け!ユーフォニアム2』
Ⓒ武田綾乃・宝島社/『響け!』製作委員会
放送年月:2016年10月~12月/話数:全13話
武田綾乃の小説を原作に、京都アニメーションが手掛ける吹奏楽青春ドラマ第2期。部内の確執や過去と向き合いながら、関西大会・全国大会へ挑みます。OPはTRUE「サウンドスケープ」、EDは北宇治カルテット「ヴィヴァーチェ!」。演奏シーンの芝居、楽器作画、ホール残響の表現など音と映像の説得力がシリーズの真骨頂。2期では心理描写の緻密さとコンクール運営のリアリティがさらに増し、青春群像の完成度で長く支持される作品です。
あらすじ
全日本吹奏楽コンクールの頂点を目指す北宇治高校吹奏楽部。顧問の厳しい指導の下、ソロ選抜や進路、友情と恋心が絡み合い、部は新たな壁に挑む。関西大会を突破した部員たちは、いよいよ全国大会の舞台・名古屋国際会議場センチュリーホールへ。巨大ホールを前に緊張と期待が渦巻く中、ステージ袖の空気、客席の圧、ホワイエのざわめきまでが画面に再現され、青春の一瞬に全てを懸ける姿が描かれる。
作品の見どころ
名古屋国際会議場(センチュリーホール)の佇まいと屋外のスフォルツァ騎馬像まで描き込むロケ再現度が圧巻!2期終盤のホール周辺描写は多くの舞台探訪で検証され、後年のシリーズでも吹奏楽の聖地として象徴的に使われ続けています。音響表現、指揮者や奏者の身体の動き、チューニングや楽屋の空気感まで、部活動のリアルが詰まっているアニメです。
どの地域が舞台になったか
愛知県名古屋市熱田区。名古屋国際会議場 センチュリーホール(〒456-0036 名古屋市熱田区熱田西町1-1)が全国大会の会場モデルとして登場。第2期終盤(第12話など)で会場外観・ホワイエ等が描かれる。
愛知県名古屋市『電波女と青春男』
©入間人間/アスキー・メディアワークス/『電波女と青春男』製作委員会
放送年月:2011年4月~6月/話数:全12話(+特別編1話)
入間人間のライトノベルをシャフトがアニメ化。監督は宮本幸裕、総監修に新房昭之。突飛な言動の宇宙人を自称する従姉・藤和エリオと、転校生の丹羽真が出会い、名古屋を舞台に普通と不思議の間で揺れる青春を描く。OPは「Os-宇宙人」(エリオをかまってちゃん=神聖かまってちゃん×藤和エリオ名義)、EDはやくしまるえつこ「ルル」。シャフトらしい実験的レイアウトと色彩、記号的な美術設計が都会の空気感と登場人物の心象を融合させ、ふわりとした日常に確かな手触りを与えます。全12話に加え、BD/DVDにはTV未放送の特別編を収録。都会の片隅で自分の居場所を探す若者の等身大の感情が、独特のテンポと音楽で軽やかに立ち上がる一本です。
あらすじ
地方から転校してきた丹羽真は、名古屋の街で自由奔放な叔母・藤和女々と同居を始める。そこには、布団にくるまり自分を宇宙人の被害者と語る少女・藤和エリオがいた。真は奇妙な生活に巻き込まれつつも、クラスメイトの御船流子、前川さんらと関係を築き、エリオの「外に出る勇気」を支えようとする。自転車での海落下事件を経て、エリオの電波は少しずつ剝がれ、彼女は社会復帰への一歩を踏み出す。文化祭やアルバイトなど日常の節々で、それぞれの孤独と不安、憧れと諦めが交錯。普通って何だろう――。都会の光に照らされ、少年少女は互いの存在を確かめ合いながら、自分だけの答えを見つけていく。名古屋の街並みは、彼らの心の地図としてさりげなく画面を満たしていく。
作品の見どころ
矢場町の歩道橋、栄の交差点、名古屋駅の「金の時計」など、実在のランドマークを大胆に取り込んだロケーション表現が秀逸。シャフト特有の図像的演出と都会の質感が噛み合い、キャラクターの居心地の悪さがリアルに伝わります。特に主題歌である「Os-宇宙人」の狂騒感と「ルル」の透明感の対比が、エリオの繊細さと回復の軌跡をやさしく包みます。放送当時から「名古屋が舞台」であることが話題となり、多くの聖地巡礼レポートが上がりました。アニメ的記号性と実景の同居という側面でも一見の価値ありです。
どの地域が舞台になったか
愛知県名古屋市(中村区・中区)。名古屋駅中央コンコースの「金の時計」(名古屋市中村区名駅1-1-4 付近)や、栄・矢場町の歩道橋、錦通本町交差点などが第1話から登場します。待ち合わせや街歩きのシーンで繰り返し描写され、都会で居場所を探す心象に重なる空間設計になっています。
愛知県東海市『五等分の花嫁∬』
©春場ねぎ・講談社/「五等分の花嫁∬」製作委員会
放送年月:2021年1月~3月/話数:全12話
春場ねぎ原作のラブコメディをTVシリーズ第2期としてアニメ化。制作はバイブリーアニメーションスタジオ。第1期からの作画スタイルを受け継ぎつつ、五つ子それぞれの恋心と成長を丁寧に掘り下げるドラマ運びが評価されました。主題歌はOP「五等分のカタチ」、ED「はつこい」で、いずれも中野家の五つ子(花澤香菜・竹達彩奈・伊藤美来・佐倉綾音・水瀬いのり)が担当。声優陣のかけ合い、色彩設計と光源処理で柔らかい空気感を作る画作り、背景美術のロケハン活用が魅力です。第2期は、ヒロイン側の感情線をより前面に出す構成がとられ、学園ラブコメの王道と誰を選ぶのかのミステリー的な楽しさを両立。入門しやすさと見応えのバランスがよく、シリーズ未見でも楽しめる作りです。
あらすじ
成績優秀だが貧しい上杉風太郎は、家庭教師として中野家の五つ子(五月・一花・二乃・三玖・四葉)を引き続き指導することに。2期では、一花の女優活動と学業の両立、二乃の恋の一直線ぶり、三玖の不器用な努力、四葉の自己犠牲、五月の姉妹の和を守りたい気持ちが、それぞれのエピソードとして重層的に描かれます。テストや学校行事、日常の何気ない出来事を通じて距離が縮まる一方、彼女たちの間に隠された過去の出会いの断片が伏線として提示され、風太郎の選択が一歩ずつ最終局面へ近づいていく——。五つ子の個性と矜持が衝突と和解を繰り返し、やがて本当の気持ちが輪郭を帯びていく、爽やかでちょっとほろ苦い青春群像劇です。
作品の見どころ
五つ子の心理を表情作画と画面設計で細やかに見せる手腕が光る作品。沈黙のカット割りや視線の芝居、差し色の扱いで誰を見ているのかを暗示する演出が秀逸で、映像だけでも楽しめる作品です。楽曲面でもOP・EDが物語と呼応し、キャラクターの心情を補完。2期は特に一花の揺らぎと二乃の直進の対比が物語を牽引し、姉妹の関係性が深まるほど、選択の重みが増していく構造になっています。
どの地域が舞台になったか
愛知県東海市「太田川駅」ペデストリアンデッキが背景モデルとして明確に登場(第6話・第7話)。駅の南北自由通路やデッキのアングルが一致するカットが確認されています(住所:愛知県東海市大田町後田52)。また名古屋市内の施設を想起させるシーンも舞台探訪で報告があり、日本ガイシホール(名古屋市南区)やイオンモール熱田(名古屋市熱田区)に酷似した描写が第8~9話に見られるとの検証もあります。※いずれも作中では固有名は出さず、背景モデルとして描写されている。
愛知県名古屋市・知多湾沖『すべてがFになる -THE PERFECT INSIDER-』
©森博嗣・講談社/「すべてがFになる」製作委員会
放送年月:2015年10月~12月/話数:全11話
森博嗣の傑作ミステリを、ノイタミナ枠でTVアニメ化。制作はA-1 Pictures。工学部准教授・犀川創平と学生・西之園萌絵が、孤島の研究施設で起きた密室殺人に挑む本格ミステリで、論理の組み立てとクールな映像美が魅力です。ハイコントラストな色調、タイポグラフィを活かしたインフォグラフィクス風の情報提示が、作品全体に通ずる知的な緊張を支えています。原作の持つ理系的な倫理観・認識論の問いを、アニメならではのテンポと画面設計で再構成している点は特に見どころ!ノイタミナらしい硬派でスタイリッシュな一作として広く知られます。
あらすじ
犀川研究室の合宿で、愛知県沖に浮かぶ妃真加島(ひめかじま)にある最先端研究施設「S&R研究所」を訪れた犀川と萌絵。そこは、かつて天才プログラマ真賀田四季が引きこもるように研究していた場所でもあった。セキュリティは完璧、外界から隔絶されたまさに密室。しかし、四季の部屋からはあり得ない状況で遺体が見つかる。鍵は自動管理、侵入の痕跡もない。残されたのは、謎めいたメッセージと、行動の整合性が取れない関係者たちの証言。犀川と萌絵は、情報工学・建築・心理の論理を駆使し、「F」とは何かを巡る思考の迷宮に踏み込んでいく。真相に近づくほど、天才の自由と倫理の境界が浮かび上がり、論理の最後の一手が孤島の夜に投げ込まれる——。
作品の見どころ
密室トリックの物理的成立と人間の動機の両輪を丁寧に突き詰めた構成。OP/EDの音楽的キレ味が、サスペンスの推進力を高めます。背景面では、名古屋大学・東山キャンパス(名古屋市千種区)がモデルとして指摘されるカットが複数あり、学内の建築意匠やキャンパスの見え方が、都市の知性を象徴する装置として活きています。都市(名古屋)と孤島(妃真加島)のコントラストは、合理の光と孤絶の闇というテーマとも重なり、背景美術が物語の主題に寄与しています。
どの地域が舞台になったか
愛知県(名古屋市・知多湾沖の架空島)。名古屋大学 東山キャンパス(名古屋市千種区)に似た描写が第1~2話を中心に確認され、研究室・講義棟の外観や通路のレイアウトが実在の景観を思わせます。主要事件の舞台は愛知県にある設定の架空島「妃真加島」の研究施設(中盤~最終話)。※島は架空地名ですが、設定上は愛知県に属する島であることが明記されています。
愛知県名古屋市・清須市・豊明市など『信長協奏曲』
放送年月:2014年7月~9月/話数:全10話
石井あゆみ原作。現代日本の高校生・サブローが戦国時代にタイムスリップし、織田信長の影武者として生きる歴史ドラマ。制作はフジテレビ×手塚プロダクションのセルルック3DCG表現で、軽妙な会話劇と骨太な戦国史が両立。音楽は☆Taku Takahashiほか。史実のダイナミズムともしも信長が現代高校生だったらという発想を、テンポのよい脚本とCGならではのカメラワークで魅せます。戦を政(まつりごと)と人心のマネジメントとして描く視点が新鮮で、周辺大名や家臣団のキャラ立ち、濃尾平野の地勢を感じさせる構図も見どころ。TVアニメから実写ドラマ・映画へ展開し、話題を呼びました。
あらすじ
授業中に校外学習で訪れた城跡の石垣から落ちたサブローは、気づけば戦国時代の尾張へ。そこで出会ったのは病の身の織田信長。信長はサブローに自分として生きてくれと頼み、サブローは信長(として)織田家を率いることに。現代的な発想で家臣たちの信頼を勝ち取り、商人や町人との関係を刷新していくサブローだが、足利義輝や今川義元、松永久秀ら強敵が立ちはだかる。やがて物語は桶狭間の戦いへ。合戦の勝敗を分ける地の利と情報戦を駆使し、歴史の車輪を動かしていく。サブロー=信長が本物の信長と向き合う瞬間は、運命の二重奏が響くドラマとなる。
作品の見どころ
3DCGの軽快さを活かした戦闘演出と、人物の心理を丁寧に追う会話劇のメリハリ。歴史入門としても楽しめる分かりやすさと、歴史ifのワクワク感の両立が強みです。なかでも桶狭間の描写は、局地的豪雨や視界、地形を活かす作戦運用が印象的。尾張=現在の愛知県西部の地理を前提にした台詞回し・行軍の描写が、歴史のリアリティを支えます。放送当時はアニメ→実写ドラマ→実写映画へとメディア展開が広がり、幅広い層の注目を集めました。
どの地域が舞台になったか
愛知県(尾張:名古屋市・清須市・豊明市など)。とくに桶狭間古戦場(名古屋市緑区・豊明市)は合戦の舞台で、アニメでも重要回(例:第4話「桶狭間の戦い」)で言及。現地には桶狭間古戦場公園(名古屋市緑区)や桶狭間古戦場伝説地(豊明市栄町南館)が整備されています。
愛知県名古屋市『伊勢湾台風物語』
脚本・監督神山征二郎さんのインタビュー動画
放送年月:1989年10月公開(劇場アニメ)/話数:全1話(劇場作品)
昭和34年(1959年)に東海地方を襲った伊勢湾台風を題材に、被災地の子どもたちの視点からいのちとつながりを描いた劇場アニメ。制作は日本ヘラルド映画ほか。ドキュメンタリー的な取材に裏打ちされた背景美術と、フィクションのヒューマンドラマを融合させ、災害の記憶を未来へ語り継ぐ意図で作られました。学校・自治体の防災教材として用いられることも多く、家族で見て語り合えるシンプルで力強い語り口が特徴です。災害描写のショックに配慮しつつ、復興への希望や地域コミュニティの支え合いが丁寧に描かれ、鑑賞後に守るべきものを考えさせます。
あらすじ
舞台は昭和34年の名古屋。主人公の少年と家族、近所の人々の平穏な日常が、台風の接近とともに次第に不穏さを帯びていく。やがて夜、高潮・強風・停電が重なり、家々は浸水。家族は離れ離れになり、少年は懐中電灯片手に必死の避難を試みる。暴風雨の轟音の中で聞こえるSOS、懸命に救助する大人たち——。未曾有の惨禍のただ中で、少年は自分にできることを探し続ける。夜が明け、街は傷だらけになったが、そこには手を取り合う人々の姿があった。喪失と再生のプロセスを子どもの目線で綴ることで、悲劇の記録を未来への教訓へと変えていく。
作品の見どころ
実録性の高い美術・音響と、家族のドラマのバランス。水位の上がり方、風の鳴り、停電下の視界など、災害の体感をアニメーションで再現。恐怖を煽るのではなく、被災地の助け合いを主題化した点が教育現場でも評価されました。公開当時は伊勢湾台風から30年の節目で、東海地方を中心に再注目。名古屋港周辺や市街の描写が、地域の記憶の継承にもつながりました。
どの地域が舞台になったか
愛知県名古屋市(港区・熱田区・中川運河域 ほか)。史実に基づく描写として、名古屋港周辺の浸水・停電状況が(作中の演出として)描かれます。※劇中住所表記は限定的ですが、物語の前提である名古屋の街が明確に舞台です。
愛知県名古屋市『ぞう列車がやってきた』
放送年月:1992年公開(劇場アニメ)/話数:全1話(劇場作品)
戦後まもない名古屋に本物のゾウを招いたぞう列車企画を、実話をもとにアニメ映画化。子どもたちに夢と元気を届けたい——そんな大人たちの熱意が、交通・手配・資金といった現実の壁を乗り越えていく過程を、瑞々しい筆致で描きます。動物を見せ物にしない優しさ、善意の連鎖の描写が胸を打つ作品。地域に根付くエピソードをアニメで記録した意味も大きく、親子鑑賞に適した温かなタッチが魅力です。
あらすじ
舞台は戦後の名古屋。子どもたちの笑顔を取り戻すため、関係者は本物のゾウを名古屋に連れてこようと奔走する。資金や輸送ルート、受け入れ先の調整……課題は山積みだが、街の人々の協力が少しずつ輪を広げ、ついにぞう列車は走りだす。列車を待つ子どもたち、沿線に集う人々、駅に響く歓声。やがてゾウは東山動植物園へ。戦争の傷跡が残る時代、ひとつの企画が街に灯した希望の物語です。
作品の見どころ
善意のバトンがつながっていくプロセスを丁寧に可視化。アニメならではの抑制の効いた感情表現と、戦後の街並みの空気感が相まって、静かな高揚を生みます。名古屋の人びとの表情、駅や路面電車の描写など、地域の生活史に根ざしたカットの数々にも注目。地域アーカイブ的な価値が高く、学校上映や地域イベントでもたびたび話題になりました。
どの地域が舞台になったか
愛知県名古屋市千種区「東山動植物園」が重要な行き先として描かれます(作中設定)。ぞう列車の企画自体が名古屋の街を横断する出来事であり、市内の各駅・商店街なども印象的に描写。※フィクション化されたパートもありますが、実話に基づく物語です。
愛知県名古屋市『新幹線変形ロボ シンカリオン チェンジ・ザ・ワールド』
©プロジェクト シンカリオン・JR-HECWK/ERDA・TX
放送年月:2024年4月~2025年2月/話数:全39話
新幹線×ロボットの人気アニメ最新作。ジェイアール東日本企画/小学館集英社プロダクション/タカラトミー原案によるメディアミックスで、TV東京系にて放送。家族で楽しめる鉄分濃度と、少年少女の成長譚を両立させた構成は健在。新幹線のディテールを活かした変形・合体ギミック、実在の路線・地名・施設を背景にしたご当地エピソードが魅力で、名古屋編では地域のランドマークが印象的に描かれました。放送終了後はセレクション再放送やイベント連動も行われ、シリーズ10周年企画へ拡張。
あらすじ
未知の脅威に対抗するため、全国の子どもたちが新幹線変形ロボシンカリオンの運転士として立ち上がる。主人公の葛藤や仲間との衝突を通じて、責任と友情を学びながら各地を駆ける日々。やがて敵の正体、目的、そして守るべきものが明らかになり、チームは一致団結して決戦へ向かう。地域ごとの文化や産業、自然風土がエピソードの軸になっており、旅情とご当地グルメの小ネタが、シリアスな物語の合間に温度差を与えるつくり。最終局面では、技術と心の両輪で世界をチェンジする決断が下される。
作品の見どころ
リアルな路線・駅・車両の知識が、作劇上の必然として溶けているのが本シリーズの肝。戦闘だけでなく、移動・連携・救援という鉄道ならではの面白さを描き、親子で語りたくなる知的な仕掛けが満載です。名古屋編(例:第7話、名古屋城など/第29話、名古屋駅・名古屋港付近)は土地勘のある視聴者をニヤリとさせ、構図・背景の密度も高水準。放送期を通じて次世代×インフラ×冒険のテーマを貫いた王道ジュブナイルでした。
どの地域が舞台になったか
愛知県名古屋市(名古屋城、名駅周辺、名古屋港一帯 ほか)がご当地回で登場。第7話で名古屋城周辺、第29話で名古屋駅・名古屋港付近が舞台(公式各話ページ・ニュースに明記)。名古屋港では、近代土木遺産の名古屋港跳上橋がランドマークとして知られ、周辺描写の参考にもなるスポットです(所在地:名古屋市港区入船1丁目ほか)。
愛知県名古屋市『メダリスト』
©つるまいかだ・講談社/メダリスト製作委員会
放送年月:2025年1月~3月/話数:全13話
つるまいかだ原作、フィギュアスケートを題材にしたTVアニメ。制作はENGI。遅咲きの元選手・明浦路 司(コーチ)と、スケートに憧れる少女・結束いのりが、出会い、悩み、互いの欠落を埋め合いながらメダルを目指す物語です。振付監修に鈴木明子、音楽は林ゆうき。滑走・スピン・ステップの重心移動や、氷上の削れ跡(トレース)を映像言語に落とし込む表現が高評価。OP/EDはオンエア期の感情線に寄り添う構成で、競技の技術解像度とドラマ性を両立しました。2025年冬クールの話題作として、競技関係者からの応援も集めています。
あらすじ
就職もうまくいかず、夢に折り合いをつけられない司は、ある日リンクで氷に恋した少女・いのりと出会う。家の事情でスクールに通えないいのりは、独学で滑り続ける純粋な情熱の持ち主。司は迷いながらもコーチを引き受け、基礎から鍛え直す。初級バッジテスト、名港杯、級認定……壁にぶつかるたび2人は向き合い、演技構成点(PCS)と技術点(TES)の現実と戦う。友やライバルとの出会いは、いのりの滑りを変え、司の生き方も変えていく。やがて迎える大切なテストの舞台は、彼女が最初に氷へ恋した場所。音楽、衣装、呼吸——すべてを一つに束ね、氷上にいのりらしさを描く。
作品の見どころ
スケーティングの物理(軸、荷重移動、踏切の質)を作画・3DCG・カメラワークで可視化。氷のきしみやブレードの音、演技後の息の上がり方まで、競技の身体性を誠実に描きます。地域との結びつきも本作の強みで、愛知・名古屋のリンク文化とクラブを核にした成長譚が胸を打つ。フィギュアを知らない視聴者にも、目と耳で分かる作りになっており、競技ファンからも注目されました。
どの地域が舞台になったか
愛知県名古屋市(大須)。主人公たちの練習拠点として名古屋スポーツセンター(通称:大須スケートリンク)が実名で登場(住所:名古屋市中区門前町1-60)。作中でも名港など愛知ローカルの大会名・クラブ名が登場し、名古屋のスケート文化が物語の軸になっています(第1~13話を通して継続的に描写)。
愛知県尾張旭市『リトルバスターズ!』
(C)VisualArt's/Key/Team Little Busters!
放送年月:2012年10月~/話数:全26話
Keyの同名PCゲームを原作とする学園青春アニメ。制作はJ.C.STAFF。明るい日常と謎めいた仕掛けが交錯する構成で、友情や成長を丁寧に描き出します。主題歌は、OPがRitaによる「Little Busters! ~TV animation ver.~」、EDが同じくRitaの「Alicemagic ~TV animation ver.~」。ゲーム版の名曲をTVアニメ向けにリアレンジし、勢いと切なさを両立させた音楽面の完成度が高いのも特徴です。アニメは2012年10月6日から2013年4月6日まで放送され、安定した作画とテンポの良い群像劇で幅広い層に支持されました。Key作品らしい泣きと、野球を合図に輪を広げていく仲間たちのエネルギーが、初見でも入りやすくおすすめです。
あらすじ
幼い頃に仲間と結成した小さな正義の味方チーム――それが「リトルバスターズ」。高校生になった直枝理樹は、幼なじみの恭介・真人・謙吾・鈴らと再び集い、野球チームを作ることに。メンバー集めで出会う個性豊かな少女たちに手を差し伸べるうち、理樹は人の弱さや痛みに寄り添う力を身につけていく。一方で学園には、謎の手紙「恭介の課題」や不可思議な現象が潜んでいた。小毬、クド、美魚、葉留佳、来ヶ谷など、それぞれの事情に向き合いながら絆は強まり、やがて世界の仕掛けに迫ることになる――仲間を信じる心が困難を突破する、温かくも切ない青春群像劇。
作品の見どころ
個別エピソードごとの完成度が高く、コミカルな日常から一転して心を抉るドラマに踏み込む緩急が魅力。Ritaが歌うOP/EDが物語の熱量を支え、MintJam編曲のサウンドが疾走感を演出します。アクションやスポ根的な盛り上がりと、Key作品ならではの仕掛けが噛み合い、終盤に向けて伏線が収束していく手触りは格別。ゲーム未プレイでも楽しめる作りで、キャラクターの成長が丁寧に描かれる点もおすすめです。1期の後には、真相に迫る続編『~Refrain~』(全13話)へ繋がる構成で、長く余韻が残る体験ができます。
どの地域が舞台になったか
愛知県尾張旭市「名鉄瀬戸線・尾張旭駅」の風景が第5話に登場(モデル背景)。駅前のロータリー構図などが一致することが舞台探訪で確認されています。所在地:愛知県尾張旭市東大道町原田2591‑3(駅住所)。
愛知県名古屋市『〈物語〉シリーズ セカンドシーズン』
©西尾維新/講談社・アニプレックス・シャフト
放送年月:2013年8月~(セカンドシーズンは2013年7月~12月放送/「傾物語」は8月17日~9月7日の全4話)話数:全4話(「傾物語」として)
西尾維新の小説をシャフトがアニメ化した人気シリーズの一編。総監督・新房昭之により再現された独創的な演出と会話劇が特色です。「傾物語」は阿良々木暦と忍野忍が昨日に戻るつもりで過去へ飛び、11年前に起きた出来事をめぐって大きな選択を迫られる物語。OPは加藤英美里(八九寺真宵)による「happy bite」。軽快でレトロ感ある楽曲と、タイムトラベルのスリル、シリーズ随一の切ない結末が相まって高評価を得ました。シリーズの中でも短尺ながら濃密で、映像・脚本・音楽の三拍子がそろったエピソードとして知られています。
あらすじ
受験勉強に集中しすぎて夏休みの宿題を忘れていた暦は、吸血鬼のなれの果てである忍に「昨日に戻りたい」と頼む。ところが到着したのは11年前の母の日の前日。そこで彼らは、翌日に交通事故で命を落とす運命にある少女・八九寺真宵の死を回避しようと決める。小さな歴史改変はやがて大きな波紋を呼び、世界の姿を一変させてしまう。暦は自分の選択の重さに直面し、忍と共に元の世界を取り戻すための困難な道を歩むことに――記憶、後悔、因果が絡み合う、シリーズ屈指のタイトな時間SF。
作品の見どころ
セカンドシーズンの真骨頂とも言える、会話の妙と映像記号の積み重ね。タイムトラベルならではのバタフライ効果を、言葉遊びとシャフト的画面設計でテンポよく見せます。また、名古屋・大須の特徴的な信号機カット(後述)など、実在風景の引用も話題に。全4話で密度高くまとまっており、シリーズ未見でも一編のSFドラマとして楽しめる完成度です。
どの地域が舞台になったか
愛知県名古屋市中区大須「赤門通×裏門前町通」の懸垂型四面式信号機(通称UFO信号機)が『まよいキョンシー其ノ壹』(セカンドシーズン第7話)で描かれた実在スポット。周囲の建物配置も一致することが複数の探訪で確認されています。交差点位置:名古屋市中区大須3丁目周辺。
愛知県犬山市『Fate/Zero』
©Nitroplus/TYPE-MOON・ufotable・FZPC
放送年月:2011年10月~(1stシーズン)/2012年4月~(2ndシーズン)/話数:全25話
奈須きのこ原作『Fate』世界の前日譚を、虚淵玄の小説を基にufotableがTVアニメ化。圧倒的作画と大人向けのシリアスな脚本で人気を博しました。主題歌は1st OPがLiSA「oath sign」、1st EDが藍井エイル「MEMORIA」、2nd OPがKalafina「to the beginning」、2nd EDが春奈るな「空は高く風は歌う」。いずれも作品の重厚感を支える楽曲として長く愛されています。伝統ある聖杯戦争で英霊を召喚し、魔術師たちが都市を巻き込み死闘を繰り広げる王道ダークファンタジーで、台詞劇とアクションの両輪が光る代表作です。
あらすじ
冬木市で十年に一度開かれる第四次聖杯戦争。衛宮切嗣はセイバーを、遠坂時臣はアーチャーを召喚し、言峰綺礼、ケイネス、雁夜、龍之介らの思惑が交錯する。王道の騎士精神と冷徹な合理主義、理想と現実が正面からぶつかる中、各陣営の過去や信念が暴かれていく。都市の夜景を舞台に凄絶な戦闘が展開し、勝利の代償と願いの重さが視聴者に問いかけられる――救いの少ない結末まで駆け抜ける、重厚な群像劇。
作品の見どころ
ufotableならではの光源表現とカメラワーク、そして梶浦由記の音楽が作る荘厳な空気感。各サーヴァントの名乗りや宝具の演出は当時大きな話題となり、OP/EDもチャートを賑わせました。また、背景美術の作り込みが徹底しており、実在建築を思わせる造形の数々がロケ感を高めています。特に「博物館 明治村」(愛知県犬山市)をモチーフにしたカットが注目を集め、聖ザビエル天主堂や帝国ホテル中央玄関などがモデル背景として語られました。
どの地域が舞台になったか
愛知県犬山市「博物館 明治村」内の建築群(聖ザビエル天主堂、帝国ホテル中央玄関など)が背景モデルとして複数回登場。OPや作中カットの比較がファンの検証で示され、明治村側も話題として紹介しています(所在地:愛知県犬山市字内山1)。
愛知県名古屋市西区『うさぎドロップ』
放送年月:2011年7月~/話数:全11話
宇仁田ゆみの同名漫画をProduction I.Gがアニメ化。30歳独身男性・大吉が、祖父の隠し子だった6歳の少女・りんを引き取り、二人暮らしを始めるところから始まるハートフルな子育て物語です。OPはPUFFY「SWEET DROPS」、EDはカサリンチュ「High High High」。柔らかい色彩設計と落ち着いた演出、耳に優しい主題歌が相まって、丁寧な日常描写に浸れる作りが魅力。2011年7~9月にフジテレビ系ノイタミナ枠で放送され、原作の温度感を損なわずに映像化した点が高く評価されました。
あらすじ
祖父の葬儀で出会った少女・りんが祖父の娘だと知った河地大吉は、誰も面倒を見ようとしない現実に直面し、自ら彼女を引き取る決意を固める。慣れない家事、保育園や仕事との両立、周囲からの視線。寄る辺なさに揺れながらも、りんの健気さや成長に支えられて二人は家族になっていく。母親との関係や友人たちの事情など、現実的な悩みも描かれ、時に衝突しながら前へ進む。やがて大吉は、守るべきものの重さと、それを引き受ける覚悟の意味を知る。
作品の見どころ
押しつけがましくない等身大の育児が好評。子どもの目線で描かれる季節の移ろい、台所やランドセルといった生活感のあるモチーフが温度を伝えます。OP/EDの素朴なポップスも作品世界と好相性。背景は愛知・名古屋の商店街や通りがモデルになったカットもあり、円頓寺本町商店街や江川線歩道橋の描写はファンの舞台探訪で指摘され話題に。肩肘張らずに観られ、見終えたあとに静かな余韻が残る一作です。
どの地域が舞台になったか
愛知県名古屋市西区「円頓寺本町商店街」周辺(那古野エリア)や江川線の歩道橋がモデル背景として登場。特に第2話を中心に、商店街のアーケードや周辺の街角が印象的に描かれています。
愛知県名古屋市中村区『ラブライブ!サンシャイン!!』
©2016 プロジェクトラブライブ!サンシャイン!!
放送年月:2016年7月~/話数:全13話(第1期)
サンライズ制作のスクールアイドル・プロジェクト第2弾。静岡・沼津の女子高を舞台に9人組「Aqours」が結成され、歌とダンスでみんなで叶える物語を紡ぎます。第1期OPはAqours「青空Jumping Heart」。キャラクターの個性を歌とライブで鮮やかに立ち上げ、地域との結びつきや学校存続問題など現実的なテーマも取り込みました。放送は2016年7月2日~9月24日、全13話。作中の楽曲展開・ライブ作画のクオリティはシリーズの強みで、放送当時から音楽・映像の両面で大きな支持を集めました。
あらすじ
沼津市・内浦の私立浦の星女学院に通う2年生・高海千歌は、廃校の危機にある学校を救うため、μ’sに憧れてスクールアイドルを始めることを決意。幼なじみの曜、転入生の梨子をはじめ、次第に仲間が集い9人のAqoursが誕生する。練習、衣装づくり、作曲、広報と手探りの活動が続く中、メンバーは互いの弱さや過去と向き合い、チームとしての一体感を高めていく。やがて全国大会ラブライブ!の地区予選に挑むことになり、彼女たちはステージで自分たちの輝きを証明しようと走り出す。
作品の見どころ
地域とアイドル活動の関係性をていねいに描き、日常芝居とライブの熱量が緩急よく配置されています。最終回にかけての演出はSNSでも大きく話題に。第13話では東海地区予選の舞台が名古屋となり、名古屋駅桜通口や日本ガイシホールの描写がファンの聖地巡礼で検証されました。音楽面では、OP「青空Jumping Heart」や挿入歌群が物語の節目を彩り、ライブシーンの群像カットやライティングが高い没入感を生んでいます。
どの地域が舞台になったか
愛知県名古屋市中村区「名古屋駅(桜通口)」、南区「日本ガイシホール」などが第13話で登場(地区予選シーンの舞台)
愛知県名古屋市『トラとミケ』(ショートアニメ)
各所で話題!ほっこりネコ漫画『トラとミケ いとしい日々』コミックスPV
放送年月:2021年8月配信開始(Twitter公式アカウントで順次配信)/話数:全24話
ねこまき(ミューズワーク)による漫画を原作とするショートアニメ。名古屋にある老舗のどて煮屋を舞台に、姉のトラと妹のミケが切り盛りする店を訪れる常連客たちの日常と人情が、四季折々の風景や名古屋めしとともに描かれます。アニメーション制作はキャラクション。各話数分の小品ながら、料理の湯気や暖簾の揺れ、方言の柔らかいリズムが心地よい余白をつくり、忙しい日常の合間にほっと息をつける間を提供します。Twitter配信という媒体特性も相まり、配信開始直後から幅広い層に受け入れられました。
あらすじ
夕方になると味噌の香りが漂うどて屋 トラとミケ。経理担当のしっかり者・トラと、調理と接客を担う元気なミケが、常連たちの小さな悩みや喜びを見守りながら、温かい料理を供していく。季節の献立や祭り、家族の記念日――日々の営みの中にあるささやかな特別が、猫の姿をした彼女たちのやりとりとともに綴られていく。店を出るころには、心もお腹も満ちている。そんな繰り返しが尊いと知るための、やさしい連作掌編。
作品の見どころ
名古屋めしへの愛が随所に表れる美術と調理描写が大きな魅力。原作が評価された人情味はそのままに、短尺でも余韻の残る間合いで温度を伝えます。視聴ハードルの低いSNS配信でいつでもどこでも観られる設計も追い風に。名古屋の街の空気感が背景や台詞回しににじみ、地元紙・出版社の紹介記事でも名古屋らしさが強調されました。手描きの柔らかい線、素直な台詞、締めくくりの表情――小さな幸福を積み重ねた日常のごちそうを感じられます。
どの地域が舞台になったか
愛知県名古屋市(市内の老舗どて煮屋が舞台設定)。店の所在地は架空ですが、描写のベースは名古屋の下町食文化。作中の看板や地口、小物や方言が名古屋ローカルの空気を色濃く伝えます。
愛知県北設楽郡東栄町『ゆるキャン△ SEASON3』
©あfろ・芳文社/野外活動プロジェクト
放送年月:2024年4月~6月/話数:全12話
女子高生たちが等身大でキャンプを楽しむ人気シリーズ第3期。制作は第3期からエイトビットへ移行し、スタッフも一新。作画テイストの刷新と、より落ち着いたトーンの演出で日常とアウトドアの空気感を丁寧に描きます。主題歌はOPがキミのね「レイドバックジャーニー」、EDが亜咲花「So Precious」。耳当たりの良いアコースティックとボーカルが、焚き火のゆらぎのように物語を包み込みます。シリーズ既存の良さを保ちながら、新スタッフの解像度の高い背景美術と道具描写が加わり、キャンプの準備から片付けまでを等身大のユーモアで楽しめるのが魅力です。
あらすじ
なでしこ・リン・千明・あおい・恵那の5人は、それぞれの生活や学業と向き合いながら、季節や天気に合わせた身の丈キャンプを重ねていきます。ソロや複数人、徒歩・バイク・鉄道など、スタイルの違いがそのまま個性として生きるのが本作の肝。リンは移動そのものを楽しむ寄り道の妙味に気づき、なでしこは料理の一工夫で仲間の時間を支えます。第3期では東海~中部のスポットも新たに加わり、地元の食や文化に触れながら、ひとつの旅路をみんなで編んでいく――そんなゆったりとした時間が描かれます。OP・EDの余韻が、焚き火の残り香のように各話を締めくくる構成も心地よいです。
作品の見どころ
本作は、道具や過ごし方の細やかな積み重ねが魅力で、テントの設営手順や就寝時の保温、撤収の段取りに至るまで、実用的な情報が自然に物語へと溶け込んでいます。制作会社の変更に伴いキャラクターデザインや背景画も更新され、等身がわずかに伸びた印象や柔らかな彩色が、季節の空気をより豊かに感じさせました。さらに愛知でのロケーションが追加され、第1話では飯田線の「東栄駅」(北設楽郡東栄町)が登場し、東栄町の風景がちびリンの思い出につながる描写として反響を呼びました。加えて、豊田市の矢作ダム方面の描写も話題となり、旅の寄り道に宿る“ごほうび感”が実際の聖地巡礼を促す魅力として広がっています。
どの地域が舞台になったか
愛知県北設楽郡東栄町「東栄駅(JR飯田線)」が第1話に登場。豊田市側の「矢作ダム」方面にも作中で触れられます(駅所在地:愛知県北設楽郡東栄町大字三輪;ダムは豊田市・恵那市境の矢作川水系)。東栄町は花祭などで知られる奥三河の町で、アニメでも駅舎の外観や周辺ののどかな景色が再現されています。
愛知県豊橋市『負けヒロインが多すぎる!』
©雨森たきび/小学館/マケイン応援委員会
放送年月:2024年7月~9月/話数:全12話
雨森たきび原作(ガガガ文庫)の学園ラブコメ。アニメーション制作はA-1 Pictures。主人公・温水和彦が負けヒロインたちと関わり、彼女たちの輝きを引き出していく逆転青春劇です。OPはぼっちぼろまる「つよがるガール feat. もっさ(ネクライトーキー)」、EDはマケイン応援!カバーソングのシリーズ楽曲という遊び心ある構成。2期制作決定も早期に発表され、注目度の高さを示しました。作品自体のテンポの良さと、日常会話の言葉選びのセンスが光り、気軽に笑えて胸が熱くなるバランスが魅力です。
あらすじ
何をやっても空気になりがちな高校生・温水和彦は、ふとしたきっかけで三者三様の惜敗ヒロインと関わることに。幼なじみ系の八奈見杏菜、スポーツ万能の焼塩檸檬、人見知りの小動物系・小鞠知花――彼女たちは誰かの物語では選ばれなかった子かもしれない。でも、彼女たち自身の物語では、まだ何も終わっていない。和彦は気負わず隣に立ち、彼女たちが自分の好きや得意を取り戻す手伝いをしていく。舞台は学園とその街。部活、商店街、映画館、動植物園など日常の場所が、彼女たちの再挑戦のステージになっていく……そんな等身大の青春が描かれます。
作品の見どころ
OPのギターポップとEDカバーソング企画が、各ヒロインの回ごとのムードを彩ります。舞台となる愛知県豊橋市とのコラボは、公式聖地巡礼マップを作品サイト内に設置するほど本格的。道の駅とよはし、のんほいパーク、豊橋地下資源館、本長篠駅、道の駅もっくる新城などが巡礼ポイントとして紹介され、市内の周遊施策やJR東海とのコラボ施策も行われました。放送期間中は街じゅうがマケイン色に染まり、地域巻き込み型の盛り上がりが大きな話題に。
どの地域が舞台になったか
愛知県豊橋市(中心市街・豊橋駅周辺、豊橋市視聴覚教育センター/地下資源館、豊橋総合動植物公園〈のんほいパーク〉、道の駅とよはし ほか)。一部は新城市(本長篠駅、道の駅もっくる新城)も登場。アニメ公式の聖地巡礼マップに各スポット番号が掲載されています。作中では日常回やデート回の背景として複数話にわたって描写されます。
愛知県犬山市『俺がお嬢様学校に「庶民サンプル」としてゲッツされた件』
©七月隆文・閏月戈・一迅社/清華院桜藤会
放送年月:2015年10月~12月/話数:全12話
七月隆文の同名ライトノベルをSILVER LINK.がTVアニメ化。携帯もSNSも知らない箱入り令嬢たちに外の常識を伝えるため、平凡男子・神楽坂公人が庶民サンプルとして名門女学校へ…という抱腹絶倒のコメディです。OPはアイドルカレッジ「イチズレシピ」、EDは原由実「トワイライトに消えないで」。分かりやすいある・ないギャップを笑いに昇華しながら、次第に育つ友情や恋心も丁寧。1話完結の小ネタと、学園陰謀をめぐる連続ドラマの両輪で、最後まで軽快に見られます。
あらすじ
とある日、公人は気絶から目覚めると森の中の巨大な学園清華院女学校にいた。ここは大財閥の令嬢しか通えず、外界から隔絶された箱庭。公人は庶民の生活を体験させる教材として連れて来られたのだ。テレビやコンビニ、カップ麺――令嬢たちにとって新鮮な当たり前が、毎回事件を巻き起こす。ツンピュアな麗子、素直な愛佳、研究肌の慧。突飛な騒動に振り回されながらも、公人は彼女たちの自分で選ぶ力を育てるべく奮闘する。やがて学園の思惑や彼自身の過去が絡み合い、コミカルな日常の裏に閉じた楽園の窮屈さが見えてくる――。
作品の見どころ
庶民と令嬢のカルチャーギャップを描いたコメディで、食堂のメニューや買い物といった身近な行為が毎回のオチにつながっていきます。舞台美術にもこだわりが見られ、学園外観のモデルのひとつとして愛知・犬山市の「博物館明治村」に移設されている旧西郷従道住宅(西郷従道邸)が取り沙汰されるなど、重厚な洋風建築が背景の説得力を高めています。さらに、耳に残る主題歌も作品を支えており、オープニングの躍動感とエンディングのしっとりとした雰囲気が物語を挟み込み、コメディとロマンスの両面を後押ししています。
どの地域が舞台になったか
愛知県犬山市「博物館明治村」周辺(旧西郷従道住宅をはじめとする洋風建築群を、学園外観・敷地のモデルの一部として参照したとされます)。該当する建物が背景に反映される回が複数あり、登下校シーンなどで西洋館の外観イメージが繰り返し用いられます。※作中の学園は架空ですが、ロケハン・モデルとしての言及がファンサイト等で詳細に検証されています。
愛知県名古屋市中区『大須のぶーちゃん』
監督:加藤道哉/アニメーション制作:サイクロングラフィックス/製作:矢場とん・サイクロングラフィックス
放送年月:2019年(シーズン1)/話数:全12話(各話約10分)
名古屋のとんかつ店・矢場とんの公式キャラクターぶーちゃんが、名古屋・大須の街で仲間と繰り広げるご当地ショートアニメ。地元局のニュースでも取り上げられ、飲食店発の街歩き連動アニメとして話題に。観光と日常が交差する大須商店街の空気を、子どもにも分かりやすいテンポで描くのが持ち味です。2022年には続編の展開も告知され、ローカルから全国へと徐々に認知を広げました。
あらすじ
元気いっぱいのぶーちゃんは、大須の商店街や路地裏、神社やイベント会場など、毎回ちがう場所で小さなハプニングに遭遇します。忘れ物を探したり、食べ歩きで迷ったり、祭りの準備を手伝ったり――でも、どの回でも合言葉はごちそうさまとありがとう。笑いと優しさで締めくくられる、大須ならではの人の近さが魅力です。観光客も地元の人も、見終わるとつい商店街を歩きたくなる、そんな10分。
作品の見どころ
実在の商店街やアーケード、路地が丁寧に再現され、看板のデザインや通りの奥行きまで「歩いて楽しい街」の雰囲気が画面に定着しています。音楽面でもOP・EDともに地元ゆかりのアーティストを起用し、名古屋カラーを前面に打ち出しました。さらに、店内放映やYouTube展開、コラボグッズなど商店街の活性化とリンクしたユニークなメディアミックスが展開され、放送当時は「食べて応援」を促す仕掛けが多方面で話題となりました。
どの地域が舞台になったか
愛知県名古屋市中区「大須商店街」周辺が全編の舞台。第1期は商店街の表通り・裏通り、万松寺通、観音様(大須観音)界隈などが各話で登場します。OP/ED・本編とも食と人情を中心に、具体の地名やランドマークが随所に描かれます。
愛知県刈谷市『ひかり ~刈谷をつなぐ物語~』
刈谷市公式YouTubeチャンネルより
放送年月:2016年3月(3月25日・市内初公開/3月28日・YouTube公開)/話数:全1話(ショートアニメ)
愛知県刈谷市の市制65周年記念として制作された、刈谷市観光協会によるPRショートアニメ。制作はゼクシズ(監督:神谷友美/脚本:木戸雄一郎/キャラクターデザイン:袖山麻美)。声優陣に諏訪彩花、阿部里果、大地葉、相内沙英、稲川英里、山下大輝、畠中祐らを起用し、地元イベントでの初披露ののち、YouTubeや市公式サイトでも公開されました。3~5分で刈谷の名所・産業・歴史を自然に紹介する観光ショートとして、当時ニュースでも取り上げられています。
あらすじ
地区大会を控える高校駅伝部。エースのひかりはプレッシャーに押され気味ですが、仲間の日常のやり取りや、練習の合間に見える刈谷の風景に励まされます。駅前の賑わい、歴史スポット、憩いの公園――走るたびに町の色が目に入る。互いに声を掛け合い、フォームを直し、少しずつ自信を取り戻していくひかり。大会当日、沿道の声援に背中を押され、胸を張ってゴールする。仲間の手の温かさと、町の記憶が一本の襷(たすき)でつながる――そんな、短い中にも爽やかな余韻の残る青春譚です。
作品の見どころ
PR色を前面に出しすぎず、駅伝という題材の中に自然に街の魅力を織り込む構成が特徴です。地元声優の起用に加え、ニュース媒体での事前告知や公開日アナウンスが功を奏し、初公開となった3月25日の刈谷駅南口・みなくる広場から、3月28日のオンライン公開へとスムーズに波及しました。短尺ながらカット割りは小気味よく、学生の息遣いと街の空気をテンポ良く伝えています。
どの地域が舞台になったか
愛知県刈谷市一円。初公開は「刈谷駅南口 みなくる広場」(刈谷市桜町1丁目)が会場でした。市内の駅前、市役所周辺、公園や歴史スポットが各シーンに登場し、YouTube・市公式サイトでも視聴可能です(市公式ページ内に作品案内あり)。
愛知県名古屋市・清須市など『信長の忍び』
©重野なおき/白泉社・信長の忍び製作委員会
放送年月:2016年10月~2017年3月/話数:全26話(各約5分)
重野なおき原作の4コマ漫画を短編アニメ化。監督は大地丙太郎、アニメーション制作はトムス・エンタテインメント。放送はTOKYO MX・テレビ愛知ほかで展開され、ショート尺ながら戦国史の要点とギャグが高密度で融合したテンポの良さが持ち味です。主題歌は前半クールが蓮花の「徒桜」、後半クールがVALSHEの「MONTAGE」。後年は第2期・第3期へと継続し、ショートアニメながら歴史ファンとアニメファンの双方に支持を拡大しました。史実ベースのエピソード進行と、千鳥(CV:水瀬いのり)を中心に据えた等身大の推しやすさが魅力で、勉強と娯楽のバランスが取れた入門編としても薦めやすい作品です。
あらすじ
時は戦国。うつけと呼ばれつつも天下布武を掲げる若き織田信長に、山里の少女・千鳥が「忍び」として仕えることを誓う。まだ小勢力の織田家は、内政の立て直しや同盟関係の構築、近隣勢力との小競り合いに追われる日々。千鳥はドジながらも持ち前の機動力とまっすぐな心で、情報収集や伝令、護衛など忍びの任務を果たしていく。信長の正室・帰蝶、若き木下秀吉、明智光秀らおなじみの面々も登場し、史実の局面をギャグと軽妙なツッコミでテンポ良くなぞりつつ、やがて大きな転機となる「清洲同盟」や「桶狭間の戦い」へ。史実の名称や地名がそのまま会話に出てくるため、難所になりがちな戦国史の流れを笑いと一緒に体感しながら理解できる構成で物語は進んでいく。
作品の見どころ
1話約5分×連続形式の戦国ショートという設計が妙。ギャグのキレと史実の要点を同居させ、たとえば「第7話 桶狭間」や「第9話 清洲同盟」のように日本史の重要トピックを数分で把握できる編集が光ります。主題歌「徒桜」は放送当時SNSでも好評を集め、短尺アニメの主題歌としては異例の話題性を獲得しました。以降のクールでも主題歌がアップデートされ、継続視聴のモチベーションを支える仕掛けに。監督・大地丙太郎×トムス・エンタテインメントの安定したコメディ演出も強みで、歴史学習の副読的な見方から推し武将探しまで幅広く楽しめます。
どの地域が舞台になったか
愛知県(尾張)—名古屋市・清須市周辺。第7話「桶狭間」で名古屋市緑区・豊明市にまたがる桶狭間の戦いを扱い、第9話「清洲同盟」では清洲城が舞台。実在スポットの参考として、清洲城(清須市朝日城屋敷1-1)、桶狭間古戦場公園(名古屋市緑区桶狭間北3丁目/豊明市栄町南舘11の伝説地)を併記。
愛知県名古屋市・清須市・豊明市『織田信奈の野望』
放送年月:2012年7月~9月/話数:全12話
春日みかげのライトノベルをStudio五組×マッドハウスがアニメ化。現代高校生の主人公が戦国時代へタイムリープし、女の子化した戦国武将たちと歴史を動かす、いわゆる戦国if×ラブコメの祖の一つです。美少女要素だけでなく、合戦・政治・同盟といった戦国ダイナミクスの見せ場を押さえ、作画の軽快さとドラマの起伏で見せる作りが特徴。戦国入門としても、キャラ推しのエンタメとしてもバランスが良く、短めの1クールで序盤の「尾張・美濃編」をテンポ良くまとめています。
あらすじ
修学旅行中の男子高校生・相良良晴は、気がつくと戦国時代へ。そこで出会ったのは、尾張の大名にして織田信長…ではなく女の子の大名・織田信奈だった。良晴は異世界転移の知識と現代史の未来予知を武器に、信奈の天下布武を後押ししていく。尾張国内の統一、同盟の構築、今川義元との決戦など、歴史の大枠は踏まえつつも、キャラクターの関係性によってこうなったかもしれない新解釈へ。信奈のカリスマ性と人心掌握、家臣たち(前田犬千代=前田慶次ら)との掛け合い、また良晴の介入で微妙に変わっていく戦局が見どころ。序盤は尾張を中心に、清洲や熱田・桶狭間方面の動きが物語の軸となる。
作品の見どころ
性別反転if歴史という仕掛けを、合戦のスピード感とキャラの魅力で押し切る気持ちよさが最大の強み。OP「Link」とED「ヒカリ」は作品のポップさと高揚感を後押しし、1クール完走後にまとまった読後感が残ります。特に尾張期は地理関係が分かりやすく、桶狭間などの歴史的転換点が整理して頭に入る構成。史実の戦術・布陣をなぞるだけでなく、信奈ならではの采配や人間関係に物語的カタルシスが宿る点も高評価です。以後のメディアミックス展開にもつながる、2010年代前半の戦国×萌え路線を代表する一本。
どの地域が舞台になったか
愛知県名古屋市・清須市・豊明市(尾張)。アニメ前半の舞台は尾張・美濃編で、清洲(清洲城周辺)や桶狭間方面の戦いが物語を牽引。実在スポット参考:清洲城(清須市朝日城屋敷1-1)、桶狭間古戦場公園(名古屋市緑区桶狭間北3/豊明市栄町南舘11)。
愛知県名古屋市中村区『君の名は。』
(C) 2016「君の名は。」製作委員会
放送年月:2016年8月公開(劇場)
新海誠の長編劇場作。制作はコミックス・ウェーブ・フィルム、配給は東宝。音楽はRADWIMPSで、主題歌「前前前世」「スパークル」「夢灯籠」「なんでもないや」を含むサウンドトラックが映画体験を牽引しました。都会と地方、夢と現実、時間と記憶を往還する物語構造と、圧倒的な背景美術・ライティング表現が世界的な評価と記録的興行収入につながり、社会現象化。舞台探訪(聖地巡礼)も全国規模で広がり、名古屋駅をはじめ、複数の大ターミナルがそのままの姿で画面に登場する点も話題に。日本のアニメ映画史を更新した2010年代の金字塔です。
あらすじ
東京に暮らす男子高校生の瀧と、山深い町で暮らす女子高校生・三葉。見知らぬ相手との身体の入れ替わりが繰り返し起き、二人はスマホのメモなどを通じて互いの生活を共有し始める。お互いの毎日を少し良くしながら、やがて二人は会いたいという感情に気づく。しかし、その背後には時間に関わる大きな断絶が隠れていた。糸守町の危機、忘却と追想、そして糸のように交差する運命。瀧は遠く離れた地へ向かい、失われた記憶の断片をたどることになる。都会と地方の格差、震災後の心象、個人の救済と共同体の祈りが一本の線で結ばれていく。
作品の見どころ
映像・音楽・編集の三位一体。RADWIMPSの主題歌群が時間の伸縮を感覚化し、写実的な背景美術がここに確かにある日本を刻印します。公開後は興行収入・話題性ともに社会現象級となり、学校・地域を越えて幅広い世代が共有する「同時代の物語」になりました。都市部の再現度は特に高く、名古屋駅の在来線ホームが移動の節として一瞬映るカットは、東海圏の観客にとっても強いリアリティの源泉に。舞台探訪の記録でも名古屋駅の一致が多数報告されており、現地性の高さが作品世界の説得力をさらに後押ししています。
どの地域が舞台になったか
愛知県名古屋市中村区—名古屋駅の在来線ホーム・コンコース等が劇中に実写的に描写。所在地の参考:JR名古屋駅(名古屋市中村区名駅1-1-4)。該当カットは瀧たちが旅程の乗り換えで立ち寄るシーンとして指摘例が多い。
愛知県名古屋市『やっとかめ探偵団』
放送年月:2007年10月~2008年1月/話数:全14話(30分×14回の短期シリーズ)
『やっとかめ探偵団』は、小説家・清水義範の名古屋ことば満載の連作を原作に、TV愛知で放送されたご当地ミステリー色の強いテレビアニメです。舞台は名古屋市の下町。駄菓子屋「ことぶき屋」の店主・波川まつ尾とご近所の年配メンバーが、身近に起きる「どえりゃー事件」を町の知恵とチームワークで解いていく、地域密着型の群像劇が魅力です。主題歌はmama-Deeが歌う「やっとかめ探偵団」。名古屋ならではのユーモア、抑えたサスペンス、懐かしい商店街の空気感がバランスよくブレンドされており、地域色の濃い作品や昭和の下町の温度が好きな方におすすめです。名古屋弁がナレーションや台詞の要所で活きているのも本作の個性です。
あらすじ
名古屋・中川運河の近くにある駄菓子屋「ことぶき屋」。店主のまつ尾は、しっかり者で面倒見のよい町のおばあちゃん。毎日のように集まる仲間たちと井戸端会議をしていると、近所で起きた小さな不審、奇妙なうわさ、困りごとが次々と舞い込んできます。警察の鷺谷警部補とも協力しながら、年の功と人情、地元ネットワークで手がかりをつなぎ、事件の真相を少しずつ解き明かしていく面々。商店街のトラブルから、地域の歴史や暮らしが影を落とす出来事まで――日々の生活に寄り添う視点で、名古屋の下町が持つ温かさと強さを描きます。やがて、まつ尾の孫・舞たち子どももマイマイ探偵団として関わり、世代を超えた絆が小さな町を大きく支えていくのです。
作品の見どころ
一番の魅力は「名古屋ことば」と地元の知恵が筋立ての推進力になっている点。ご近所の観察眼、顔の見える関係、長年の土地勘が論理的な推理を後押しし、派手なアクションに頼らず生活の延長線上にあるミステリーを成立させます。商店街の風景描写や下町コミュニティの温度も丁寧。子どもが関わる回では、駄菓子屋文化や祭りなど地域の記憶が情緒的に立ち上がります。OP「やっとかめ探偵団」は地元ゆかりの制作陣が手がけ、作品世界を軽快に導入。全14話と手に取りやすく、名古屋のローカル文化に触れたい方、ゆるやかな会話劇と小気味よい謎解きの両方を味わいたい方に刺さる構成です。
どの地域が舞台になったか
愛知県名古屋市(下町一帯)。劇中の拠点は中川運河近くの「ことぶき屋」。名古屋弁が全編で使われ、地名・生活文化が具体的に描かれます。放送はTV愛知で2007年10月7日~2008年1月6日(全14話)。OPは「やっとかめ探偵団」。
愛知県『かよえ!チュー学』
(C)「かよチュー実行委員会」
放送年月:2011年6月~2014年3月話数:全431話(1話50秒の超短編)
東海テレビ発の超短尺アニメ。アニメーション制作は『秘密結社 鷹の爪』で知られるDLE。東海地方のとある中学の2年生5人組が漫才的トークを繰り広げるしゃべり場アニメで、学校生活のあるある、青春の微妙な空気、理不尽な笑いをテンポよく畳み掛けます。登場人物の多くは中日ドラゴンズの選手名に由来する名前で、名古屋ローカルの洒落やネタもふんだん。オリジナルソング企画の回や特番もあり、テレビ×YouTube連動で広がった点も当時の新機軸でした。短尺でもキャラが立ち、軽妙なボケとツッコミ、微妙に外したオチがくせになる構造。1本50秒×大量の回数でスキマ時間に観られる設計も今なお魅力です。
あらすじ
関西から転校してきたワダは、妙に濃い4人のクラスメイトに振り回される毎日。学級委員を気取るアラキ、クマみたいなビジュアルのモリノ、マイペースなヨシミ、そしてワダ自身のボケとツッコミが、学校・街・家庭といった身近な舞台で際限なくスパークします。テスト、部活、恋バナ、都市伝説、ネットネタ……1本50秒の中に、思春期の妙なテンションとオチの瞬発力が凝縮。時にはご当地あるある、中日ドラゴンズを想起させるイジり、コラボ企画なども差し込まれ、深夜の雑談のような気軽さで視聴者を巻き込みます。YouTube配信とも連動し、地上波エリア外でも追えるオープンな深夜アニメとして広まっていきました。
作品の見どころ
短いのに満足感がある編集と台詞術。ツッコミの速度、沈黙の置き方、急停止のエンディングまで、秒単位で笑いを設計しているのが巧みです。キャラクター造形も、「中学2年のちょっとイタい自意識」を愛情たっぷりに笑う方向へ落とし込み、観る側が自分の思春期と軽くリンクできる。地元ネタやプロ野球の固有名詞遊びで名古屋的味を出しつつ、普遍的な学園コメディとして成立させたバランスも秀逸。大量のエピソードを好きな時に一点突破で見られるのも長所です。
どの地域が舞台になったか
設定上は「東海地方のとある中学」。市区町村の明示はありませんが、名古屋・中日ドラゴンズに由来する名前のキャラが多く登場し、制作・放送も名古屋の東海テレビです。
愛知県名古屋市港区『風立ちぬ』
© 2013 Hayao Miyazaki/Studio Ghibli, NDHDMTK
放送年月:2013年7月公開/話数:全1作(劇場映画/126分)
スタジオジブリ×宮崎駿監督による長編。実在の航空技術者・堀越二郎の半生と、堀辰雄の小説『風立ちぬ』を織り交ぜて、戦前の日本に生きる若者の夢と恋、そしてものづくりの歓びと影を描きます。主題歌は荒井由実(松任谷由実)の「ひこうき雲」。1973年の名曲を現代に響かせ、静かな余韻を作品に与えました。手描きアニメならではの空気、機械の音、風景の湿度が一体となり、戦争を賛美せずに技術者の情熱を見つめる視線が貫かれます。宮崎作品の中でも現実描写が多く、軽井沢・各務原・名古屋など実在地が丁寧に再現され、聴覚表現を含めた総合的な映画体験として高い完成度を誇ります。
あらすじ
少年時代から飛行機設計に憧れた堀越二郎は、東京の大学を出て、三菱に入社。先端の航空機設計に携わりながら、震災・不況・病などの時代の荒波に直面します。軽井沢で出会った菜穂子との恋は、二郎の心の支えに。やがて彼は名古屋の三菱航空機・大江工場に赴任し、仲間とともに国産戦闘機の開発に挑みます。設計の失敗と改良の繰り返し、試験飛行の成功と緊張、そして病と戦う菜穂子の姿――「生きねば。」のコピーに込められた、夢と現実の痛切な交差が、静かに胸を打ちます。
作品の見どころ
風・音・息を画面に宿すための表現。エンジン音や地鳴りを人の声で作るなど、音づくりの実験精神が物語感情を増幅してくれます。昭和初期の街並み、工場、鉄道、ホテルの空気を、背景美術とレイアウトで克明に蘇らせ、主題歌「ひこうき雲」は、若くして逝った友を想う普遍的な歌で、夢を追う者の孤独と光を照らすように響きます。実在の大江工場や各務原の空をはじめ、実景ベースの舞台が多く、聖地巡礼的な楽しみも豊富。技術者礼賛に留まらず、戦争と産業の関わりを静かに問う大人の視点も本作の核です。
どの地域が舞台になったか
愛知県名古屋市港区「三菱航空機 旧本社・大江工場」(現:三菱重工業 名古屋航空宇宙システム製作所 大江工場|住所:愛知県名古屋市港区大江町10)が作中に登場。堀越が赴任し設計に取り組む拠点として描かれます。
愛知県犬山市『僕は友達が少ない(第1期)/僕は友達が少ないNEXT(第2期)』
©2011 平坂読・メディアファクトリー/製作委員会は友達が少ない
放送年月:第1期 2011年10月~12月/第2期 2013年1月~3月/話数:第1期 全12話+OVA2話/第2期 全12話
平坂読のライトノベル原作。アニメ制作はAIC Build。友達づくりを目的とした隣人部に集まった高校生たちのこじらせた青春を、毒気と可笑しみたっぷりに描く学園コメディです。キャラクターの残念さを笑いと痛みの両面で見せる筆致が持ち味で、日常回の会話劇から、文化祭・旅行・ゲームネタまで振れ幅が広いのが魅力。ハーレム的構図を踏み外しつつ、群像としての関係の温度を正面から描く点に定評があります。
あらすじ
金髪と強面のせいで誤解されがちな転校生・羽瀬川小鷹は、同級生・三日月夜空と友達を作る部活=隣人部を立ち上げます。ワガママだが憎めないお嬢様・柏崎星奈、厨二病気味の小鳩、理系オタクの志熊理科、性別の壁で揺れる楠幸村、腹ペコシスターの高山マリア……個性がぶつかり合う毎日は、どこか不器用で、でも愛おしい。ゲーム制作、キャンプ、文化祭、勉強会、旅――うまく言葉にできない感情が、笑いとトラブルの隙間から顔を出します。やがて過去の因縁が滲み、彼らの関係は少しずつ変化。痛快なギャグと切ない青春の同居が、本作の後味を作っています。
作品の見どころ
ギャグの推進力とキャラ会話の間が一級品。OP/EDの耳残りのよさも相まって、1話ごとの起伏を軽快に牽引します。舞台探訪的には、第1期10話に犬山橋(愛知県犬山市—岐阜県各務原市の県境、当時は名鉄と自動車が同じ橋を通行した歴史でも知られる)が登場し、名鉄のパノラマカー表現が話題に。第2期では名古屋駅へ遊びに行くシーンも確認されています。アニメ的な嘘とリアルな地理の交差が画の説得力を増し、ファンの探訪記事も多く残りました。
どの地域が舞台になったか
(作中の主舞台は岐阜寄りの地方都市設定)愛知県ゆかりでは、第1期10話に犬山橋(木曽川)周辺が登場。第2期には名古屋駅カットも確認されます。
愛知県名古屋市『普通の女子校生が【ろこどる】やってみた。』
©小杉光太郎・一迅社/流川市ふるさと振興課
放送年月:2014年7月~9月/話数:全12話(+TV内OVA相当1話、後年OVA2作)
小杉光太郎の4コマ原作。制作はfeel.。千葉県流川市のローカルアイドル=ロコドルに挑む女子高生コンビ、宇佐美奈々子と小日向縁の地元密着奮闘記です。緩やかな空気と、地方自治・観光PR・地場産業など現実の地域課題までをコミカルに織り込む構成が高評価。ご当地キャラクター魚心くんも含め、イベント運営や予算、住民との距離感の描き方がリアルで、地域おこし系アニメのひとつの到達点として語られます。
あらすじ
特に取り柄のない普通の女子校生奈々子は、流川市役所勤務の叔父に頼まれて、市のPRを担うローカルアイドルの仕事を手伝うことに。お嬢様だけど天然な相方・縁、着ぐるみ担当の名都借みらい、頼れる大人たちと組みながら、商店街イベント、プール開き、テレビ出演、他地域との交流など、地元に根差した活動を一歩ずつこなしていきます。最初は不器用でも、市の魅力を知り、人の優しさに触れ、自分たちなりのロコドル像を形にしていく二人。終盤には全国のロコドルが集う大舞台に臨み、仲間と地元への想いを胸に、ステージに立ちます。
作品の見どころ
ご当地PRのリアルを、やさしい絵柄のコメディで包む手腕が秀逸。控え室、予算書、スケジュール、現場のバタバタ――その全部が愛おしく、観たあとに地元をちょっと好きになる感覚をくれます。愛知県名古屋市はクライマックスの「ロコドルフェスタ」の開催地として登場し、名古屋城近くの広場での物産展などの描写も。具体的な回としてはTVシリーズ第11~12話に登場することが舞台探訪レポートや作品項目で確認できます。楽曲の耳残りも強く、イベント回の一体感は何度も見返したくなる仕上がりです。
どの地域が舞台になったか
(主舞台は千葉県流川市)愛知県名古屋市:終盤のロコドルフェスタ会場(名古屋市内ホール)。前日には名古屋城近くの広場で「愛・地域物産展」が行われる設定。該当描写は第11~12話。
愛知県犬山市『恋愛ラボ』
放送年月: 2013年7月~9月・話数: 全13話
宮原るりさんの4コマ漫画を原作とする学園コメディで、アニメ制作は動画工房が担当しました。舞台となるのは名門女子中「藤崎女子中学校(通称:藤女)」の生徒会で、恋に恋する5人の少女たちが「恋愛研究」を繰り広げます。放送は2013年夏クールで全13話。声優陣には沼倉愛美さん、赤﨑千夏さん、水瀬いのりさん、佐倉綾音さん、大地葉さんといった実力派がそろい、軽妙なテンポとズレた努力による笑いが魅力となっています。動画工房らしい柔らかな色彩設計と芝居作画の細やかさが、日常の小さな事件を可笑しく、そして愛おしく見せてくれるのも特徴です。さらに、原作が持つ人間関係のあたたかさを崩さずに、友情や自尊感情、誤解と和解といった中学生らしいテーマをコメディの器に巧みに詰め込んでおり、入門しやすい一本となっています。
あらすじ
由緒あるお嬢様校・藤崎女子中学校。ワイルド系で通る倉橋莉子は、憧れの的・生徒会長の真木夏緒(通称マキ)と偶然出会う。そこで目撃したのは「生徒会室=恋愛研究所」という衝撃の実態。マキは清楚なお嬢様イメージの裏で、理想の恋を実現するための研究に余念がなく、やがて莉子は彼女の暴走気味な研究を止めるブレーキ役に。さらに、内気な書記スズ、ふわふわ天然の副会長エノ、現実主義者の会計サヨも巻き込み、恋の妄想実験はますます過熱していく。人前で格好をつけがちな莉子の虚勢や、マキの不器用さは時に衝突も生むが、誤解を解くたびに5人の絆は強固に。恋愛に臆病な心を笑い飛ばしつつ、友だちのために小さな勇気を出す——そんな等身大の成長が、1話完結のコメディと連続ドラマの中間のリズムで心地よく描かれる。
作品の見どころ
恋愛を学問として描くという発想が光る本作は、悪ノリ一歩手前の小道具や作戦名、図解をテンポよく畳みかけることで笑いを生み出しながら、そのギャグが必ずキャラクターの内面に返ってくる構成が秀逸です。生徒会室での芝居の密度や、まばたきや仕草に至るまでの丁寧な描写は、動画工房ならではの真骨頂といえます。オープニングやエンディングのコーラスワークも含め、「5人がユニットとして息を合わせる」快感が全編を通じて宿っています。2013年夏のラブコメ枠の中でも、女子だけで恋を語るという着眼点で静かな人気を獲得し、放送後には聖地巡礼も盛り上がりました。特に第1話で映る藤女生徒会の校門のモデルが博物館明治村の正門であるとファンに特定され、東海圏の舞台探訪記事が相次いだのは大きな話題です。原作に息づく岐阜要素と、アニメの愛知ロケハンが交差することで東海色を楽しめる点も本作ならではの個性となっています。
どの地域が舞台になったか
愛知県犬山市「博物館 明治村 正門(旧制第八高等学校正門)」が藤女の校門のモデルとして登場(第1話ほか)。住所:愛知県犬山市字内山1。現地比較写真つきの舞台探訪記事が複数公開されている。
愛知県名古屋市 映画『ゆるキャン△』
©あfろ・芳文社/野外活動委員会
公開年月: 2022年7月(公開:7月1日)
あfろさん原作の人気キャンプ漫画を劇場版として映像化した本作は、アニメ版でおなじみのC-Stationが制作し、京極義昭監督が続投しています。テレビシリーズからさらに一歩進め、主要キャラクター5人の少し先の未来――大人になった姿を描く完全新作となりました。劇場ならではの広がりあるサウンドに加え、立山秋航さんの音楽が「観るアウトドア」としての没入感をしっかりと補強しています。テレビシリーズで培われた「気取らない等身大の温かさ」はそのままに、働く大人としての責任や夢、そして地域と人を結ぶキャンプ場づくりという新たなテーマを鮮やかに重ねた構成が大きな魅力です。
あらすじ
舞台はTVシリーズから数年後。東京で働く各務原なでしこ、名古屋の出版社で編集者になった志摩リン、山梨で地域観光に関わる大垣千明、教員として日々を送る犬山あおい、横浜でトリマーとして働く斉藤恵那。再会した5人は、かつてキャンプが与えてくれた自由と救いを思い出し、今度は自分たちの手で誰かの背中を押すキャンプ場をつくろうと動き出す。資金、許認可、地元合意、設計、そして自らの生活。現実のプロセスにぶつかりながらも、互いの得意を持ち寄って前へ進む。夜景の美しい名古屋の向野橋、名駅周辺、丸の内のオフィス街、書店や喫茶文化など、日常の風景も丁寧に切り取られ、働く日々の帰り道のご褒美のように描かれる。キャンプの楽しさはもちろん、仲間と地域に還す喜びが胸に残る。
作品の見どころ
テレビ版のゆるやかな雰囲気と、映画ならではのスケール感が気持ちよく両立している作品です。作画面では、焚き火やランタンの光の揺らぎ、冬空の澄んだ空気感まで丁寧に描き分けられ、音響も自然音を豊かに拾うことで臨場感を高めています。社会人となったリンが名古屋で働き、一宮から丸の内方面へ通勤する生活描写は、東海圏の観客にとって特に身近で、地続きの現実味を強く感じさせました。公開直後から聖地巡礼も盛況となり、向野橋やジュンク堂名古屋店、丸の内駅4番口、名古屋の喫茶店などを巡る記事が多数公開されるなど、地域を巻き込んだ盛り上がりを見せました。さらに、オープニングとエンディングはいずれも映画用に書き下ろされた楽曲で、幕間の高揚感と余韻をしっかりと支えている点も大きな魅力です。
どの地域が舞台になったか
愛知県名古屋市(志摩リンが名古屋の出版社で勤務:作品解説に明記)。作中に向野橋(名古屋市中村区名駅南付近の跨線橋)、ジュンク堂書店名古屋店、丸の内駅周辺、コーヒーハウス かこ 花車本店などが登場する舞台探訪報告が多数。向野橋はビジュアルにも用いられた象徴的カットとして知られる。住所例:向野橋付近(名古屋市中村区名駅南2丁目周辺)。
愛知県常滑市『武装少女マキャヴェリズム』
© 2017 黒神遊夜・神崎かるな/KADOKAWA/「武装少女マキャヴェリズム」製作委員会
放送年月: 2017年4月~6月/話数: 全12話(+OAD1話)
黒神遊夜さん・神崎かるなさんによる漫画を原作に、SILVER LINK./CONNECTがテレビアニメ化した作品です。女子が帯刀を許可された共生学園に転入した主人公・納村不道が、最強の五人衆・天下五剣に素手で挑む、徒手空拳×剣術の学園バトルが展開されます。主人公が無刀で理不尽に抗う立ち回りの構成や、型の異なるヒロインたちの流派と矯正をめぐるドラマ、そしてSILVER LINK.ならではのアクション芝居とエッジの効いた色彩設計が大きな見どころです。さらに、コミカルな顔芸とシリアスなバトルの落差も効果的に作用しており、1クールの中でキャラクター同士の関係性が段階的に変化していく構成が心地よく楽しめます。
あらすじ
不良との抗争で問題児とされた納村不道は、外出もままならない規律の厳しい私立愛地共生学園へ。そこは女子が帯刀し、男子は女装まで強いられる異常な環境。学園を支配する天下五剣の前に納村は無手で立ち、理屈と技で矯正に抗っていく。毒舌で面倒見の良い鬼瓦輪、剣に誇り高い亀鶴城メアリ、歪んだ愛情を抱く天羽斬々……強者との連戦は、彼ら自身の弱さや痛みをえぐり出し、やがて自由とは何かの問いに至る。最終局面では学園外での決闘や空港シークエンスも描かれ、納村の無刀の哲学が、刀を振るう側の心をも変えていく。バトルの激しさとコメディの軽さの配分が巧みで、最後まで一気に見通せる1クール作。
作品の見どころ
素手VS帯刀というコンセプトの鮮烈さが際立つ本作は、示現流を下敷きにした魔弾などの徒手必殺が、剣技の見せ場と正面衝突する構成によって痛快さを生み出しています。各ヒロインの武器や体術の差異を、影と色彩の使い分けで明快に描き分ける演出も小気味よく、視覚的な楽しさを高めています。オープニング「Shocking Blue」はヒロインたちの群像劇に高揚感を与え、エンディング「DECIDE」は五剣の結束と決意を象徴しました。さらに、最終話では中部国際空港(セントレア)と酷似した空港施設が決戦の舞台として描かれたとされ、舞台探訪記事や言及が複数見られるなど、東海圏のアニメファンの間で大きな話題となりました。
どの地域が舞台になったか
愛知県常滑市の中部国際空港(セントレア)に酷似した空港が最終話の舞台として登場する旨の探訪記事・言及あり。実在の施設:愛知県常滑市セントレア1-1(中部国際空港)。作中学園名愛地共生学園の愛地は語感的にも愛知を想起させる。
愛知県常滑市『のうりん』
放送年月: 2014年1月~3月/話数: 全12話
白鳥士郎さんのライトノベルを原作に、SILVER LINK.がアニメ化した作品です。舞台は岐阜の農業高校で、元トップアイドルの転入をきっかけに波乱が巻き起こる、農業×学園ラブ(時々パロディ)コメディとして描かれています。オープニングは田村ゆかりさんが歌う「秘密の扉から会いにきて」、エンディングはユニット「も・ぎ・た・て♡フルーツガールズ」による楽曲が担当しました。農業の現場感を笑いへと落とし込みながら、価格や販路、志といった産業の現実も時にまっすぐ描くバランスが作品の持ち味です。
あらすじ
県立田茂農林高校、通称のうりん。アイドルオタクの農業科男子・耕作は、神アイドルゆかたんの引退に打ちひしがれていた。そんな中、彼のクラスに謎の美少女・木下林檎が転入してくる。彼女の正体は、まさにゆかたん本人。正体を隠し地方に身を寄せ直す林檎と、彼女を支えたい耕作。個性の強すぎるクラスメイトや教師陣も巻き込み、酪農、野菜栽培、販売実習、地域PR……農業系高校のあるあると青春が、ご当地ギャグとメタネタ満載のテンポで突っ走る。やがて林檎が再びステージに向き合う時、耕作たちが選ぶのは、農とアイドルの両立を願う等身大の答え。笑いの奥で地方で生きることへの真面目な眼差しが光る。
作品の見どころ
ギャグの速度感とともに、「教養としての農」を打ち出した点が本作の特色です。パロディ要素が話題をさらいがちですが、作中で描かれる実習や販路、労働の場面は妙にリアルで、地域や一次産業に関心を持つきっかけになった視聴者も少なくありません。声優陣による歌唱企画も豊富で、エンディングや挿入歌の完成度は今なお語り草となっています。東海圏的なトピックとしては、第10話に中部国際空港(セントレア)が登場し、海外留学に旅立つシーンの舞台として描かれました。放送当時から舞台探訪が相次ぎ、岐阜を主舞台とする軸を崩さずに、愛知の巨大インフラが物語の節目に顔を出すという広域生活圏らしい接続の描き方が面白い作品です。
どの地域が舞台になったか
愛知県常滑市・中部国際空港(セントレア)(第10話)。住所:愛知県常滑市セントレア1-1
愛知県名古屋市『まじかる☆タルるートくん』
(C)江川達也/集英社・東映アニメーション
放送年月: 1990年9月~1992年5月/話数: 全87話
江川達也さんの同名漫画を、東映アニメーションがテレビシリーズ化した作品です。ドタバタ魔法コメディの王道であり、当時の日曜朝8時30分枠を代表する長寿作のひとつとなりました。主人公タルるートと本丸の凸凹コンビが織りなす騒動劇は、テンポの良いギャグや手描きならではの弾むアニメーション、そして耳に残る主題歌群によって強く記憶に残ります。さらに、漫画・アニメ双方で名古屋の小学生・岸麺太郎が重要なサブキャラクターとして登場し、東海地方由来のネタや言い回しがアクセントになっている点も特徴です。
あらすじ
勉強も運動も今ひとつな本丸の前に、魔法陣からタルるートが現れる。頼めば何とかしてしまうタルるートの魔法は、最初は夢のようだが、だんだんとやりすぎ・効きすぎで町は大騒ぎに。そんな中、本丸の前に現れるトラブルメーカーが名古屋の小学生・岸麺太郎。タルるートを連れて地元へ帰そうと画策する彼のいたずら攻勢は、南野町の日常をさらに混沌へ。友情・嫉妬・初恋、そしてやりすぎの代償をめぐる教訓も、ギャグの向こう側にきっちり差し込まれる。長期シリーズの中でタルるートと本丸の関係は次第に変化し、騒がしい日々の奥に、互いを思いやる穏やかな成長が見えてくる。
作品の見どころ
魔法で全て解決しているように見えて、実は人のわがままや弱さを炙り出す構図が今見ても巧みです。手描き時代ならではの勢いあるスラップスティックや心地よい効果音、耳に残るオープニングやエンディングは、当時の子ども文化を象徴しています。特にTARAKOさんが歌う主題歌群は作品のイメージを決定づけ、歌番組やカラオケでも愛されました。長期放送を支えた東映アニメーションの朝枠ならではの職人芸も見どころで、レイアウトやエフェクトの飛び方が小気味よく楽しめます。さらに、名古屋っ子・麺太郎のエピソード群では、名古屋弁やきしめんといった地域性の強いネタが盛り込まれ、シリーズの中でも特に印象に残る章立てとなっています。
どの地域が舞台になったか
愛知県名古屋市。名古屋在住のキャラクター「岸麺太郎」が登場する章で、名古屋が明確に言及される(漫画の該当巻・各種解説に記述。アニメでも麺太郎関連回が映像化)。作中のきしめん屋など名古屋的モチーフが多数。参考:作品ラインナップ(放送データ)、キャラクター解説。
愛知県半田市『僕の妻は感情がない』
©2024 杉浦次郎/KADOKAWA/製作委員会は感情がない
放送年月:2024年7月~9月/話数:全12話
杉浦次郎さんによる同名漫画を原作に、手塚プロダクションが制作した人間×家事ロボットの新機軸ホームドラマです。社畜気味の会社員・小杉タクマさんと、感情がないはずの家事ロボット・ミーナの関係が「擬似夫婦」から本当の家族へと変わっていく過程を、丁寧な日常描写とユーモアで描いています。オープニングはVTuber・ときのそらさんの「おかえりなさい」、エンディングは清水美依紗さんの「Wave」で、いずれも本作でアニメ主題歌を初担当し、作品世界と歌詞・映像の親和性が話題になりました。原作の静かな感情の揺れを尊重しつつ、料理・掃除・節約術など生活感ある演出が心地よく、家族観やパートナーシップを考えさせてくれる点もおすすめです。放送は2024年夏クールに、TOKYO MXほか各局にてオンエアされました。
あらすじ
仕事に追われ自炊もままならないタクマは、最新型家事ロボットミーナを購入する。淡々と家事をこなすミーナは「感情がない」はずだが、日々の生活を共にするうちに、タクマは彼女の行動に小さな個性や学習の跡を見つけ、そこに温かさを感じ始める。節約レシピや掃除の工夫、誕生日のサプライズ、体調不良の看病——些細なイベントの積み重ねが二人の距離を縮め、タクマは戸籍上の結婚を提案。周囲の反応や法的・倫理的な壁、そして自分の気持ちの正体に向き合いながら、タクマとミーナは夫婦としての関係を模索していく。ミーナ自身も感情の定義に揺れながら、タクマの幸せを最優先に考える選択を学習していく。派手な事件はないが、生活のディテールが丁寧に積み上がり、静かな余韻が残る物語となっている。
作品の見どころ
買い物の単価や光熱費の節約、時短家事といった生活のリアリティを物語の推進力として活かしている点が特徴です。また、感情の定義を問うSF的なテーマも盛り込まれており、アルゴリズムの学習と人間の情動の差異や共通点を、過剰な説明に頼らず視線や間で描き出す演出が印象的です。さらに、主題歌も作品のために書き下ろされており、オープニングは「ただいま/おかえり」の往復で関係性の進展を暗示し、エンディングは波を感情にたとえることで余韻をつくり出しています。色彩設計も夏アニメらしい透明感に満ちており、放送当時は「VTuberが地上波アニメのOPを担当」「清水美依紗のEDが沁みる」と音楽面でも話題になりました。全体に優しい作風でありながら、最終盤の選択は骨太で、ハートフルさと哲学性が両立している点も魅力です。
どの地域が舞台になったか
愛知県半田市(知多半島)と推定される描写あり。作中の表札・郵便物の表記から、小杉タクマとミーナのアパート住所が「愛知県半田市朝日町4-12-3 201号室」と読めるカットが指摘されている(視聴者による舞台探訪の検証情報)。具体的な町歩きの再現描写は控えめだが、生活圏の設定として東海地方が示唆される。 ※住所は作中表記に基づくファン検証であり、公式が明言した設定ではない。
愛知県名古屋市『安達としまむら』
©2019 入間人間/KADOKAWA/安達としまむら製作委員会
放送年月:2020年10月~12月/話数:全12話
入間人間さんのライトノベルを原作に、手塚プロダクションがアニメ化しています。体育館の二階でサボって出会った二人の距離が、友達から特別へと変化していく過程を、繊細な心理描写と静謐な画づくりで描く百合青春作となっています。日常の小さな出来事――プレゼント、電話、すれ違い――が丁寧に積み重ねられ、背景美術と淡い色調が内面の揺らぎを補強しています。モノローグ主体の語り口と音楽の呼吸が心地よく、ロマンスと日常のバランスが絶妙な一本です。
あらすじ
いつものように体育館の二階で時間をつぶしていた島村抱月は、同じように授業を抜けていた安達桜と出会う。二人はピンポンをしたり、たわいない会話を交わしたりするちょうどいい距離の友達になるが、安達は次第に島村への想いを自覚していく。季節は冬へ。バレンタインが近づくなか、安達は勇気を振り絞ってチョコを用意し、島村を名古屋へ誘う。甘くもぎこちない時間、差し出せない言葉、そして届きそうで届かない手。島村もまた、幼なじみ・樽見との再会や家族との関係の中で自分にとっての好きの形を探し、二人の関係はゆっくりと輪郭を持ちはじめる。やがて春。距離が離れ、また近づき、それでも思いは消えずに残る——そんな揺らぎを四季とともに綴る。
作品の見どころ
本作は、間や視線を活かした演出が魅力で、手を伸ばす、躊躇うといった所作や足取りによって心理を語る繊細な作画が光ります。音楽と色彩設計も秀逸で、淡いトーンと穏やかなスコアが日常の静けさに没入させてくれます。特に第9話の名古屋駅エピソードは印象深く、バレンタイン当日に二人が名古屋駅に向かう場面では、JR東海313系(5000番台)に乗る描写や駅構内の雰囲気が丁寧に再現され、東海圏ならではの生活感が伝わると話題になりました。さらに、キャラクター自身がテーマを歌うオープニングと、鬼頭明里さんのしっとりとしたエンディングが作品の空気を補強しています。全体として、日常の一歩を大切に描く構成が心に残る作品です。
どの地域が舞台になったか
愛知県名古屋市(名古屋駅)。第9話の公式あらすじに「2月14日の放課後、しまむらと名古屋駅に行った」と明記。駅でのチョコ交換や移動のカットがあり、東海地方の生活導線が描かれました。所在地:名古屋市中村区名駅周辺。なお、作品の主な日常舞台は岐阜県側ですが、名古屋駅は物語の重要な転換点として登場します。
愛知県西尾市『名探偵コナン 天空の難破船』
放送年月:公開:2010年4月~(劇場)
青山剛昌原作の劇場版第14作。TMS(東京ムービー)がアニメーション制作、監督は山本泰一郎、配給は東宝。世界最大級の飛行船ベルツリー号を舞台に、怪盗キッドとテロ組織赤いシャムネコが仕掛ける事件にコナンが挑む。主題歌はGARNET CROW「Over Drive」。飛行船サスペンス×怪盗劇の王道が噛み合い、キッドの華やかな見せ場とコナンの推理・アクションが連続する娯楽性が魅力。公開当時もシリーズ上位の動員を記録し、空と海を横断するスケール感と、ラストの空中の攻防が語り草に
あらすじ
武装グループが研究所から致死性バクテリアを奪取。赤いシャムネコを名乗る犯行声明が出される一方、大富豪・鈴木次郎吉は怪盗キッドに対し、飛行船ベルツリー号に積んだ宝石天空の貴婦人を盗んでみよと挑戦状を叩きつける。コナンたちも見学を兼ねて乗船するが、飛行船はテロ組織に乗っ取られ、空は密室と化す。混乱の中でキッドも姿を見せ、二重三重の思惑が交錯。やがて飛行船から投げ出されたコナンは、海に浮かぶ島へたどり着き、そこで反撃の糸口をつかむ。感染拡大の恐怖、宝石を巡る駆け引き、そして怪盗と名探偵の誇り——飛行船の行く先と人々の命を懸けた、タイムリミット・サスペンスが幕を開ける。
作品の見どころ
本作は、空飛ぶ密室ならではのサスペンス設計が見どころで、高度や通信、隔離といった制約を巧みに物語の緊張へと変換しています。怪盗キッドの存在感も際立っており、泥棒紳士らしいトリックやコナンとの暗黙の共闘、さらに名台詞の応酬が痛快さを演出します。音楽面ではシリーズらしい主題歌と劇伴が作品を支えており、GARNET CROWによる疾走感ある楽曲が空を舞台としたスケール感を後押ししています。また、聖地巡礼の楽しみも広がり、コナンが降り立つシーンのモデルとして三河湾の離島・佐久島にあるアート作品「おひるねハウス」が知られ、公開後には島公式サイトでも言及されるなど観光誘客にもつながりました。
どの地域が舞台になったか
愛知県西尾市佐久島(「おひるねハウス」周辺/石垣海岸)。劇中でコナンと怪盗キッドが降り立つ場面のモデルとしてファンに認知され、佐久島公式サイトでも2010年公開の劇場版に登場と明記。住所の目安:愛知県西尾市一色町佐久島・石垣海岸エリア。作品内では飛行船の移動に伴い各地が登場するが、愛知の海の風景が印象的なポイントになっている。
愛知県東海市『五等分の花嫁(第1期)』
©春場ねぎ・講談社/「五等分の花嫁」製作委員会
放送年月:2019年1月~3月/話数:全12話
春場ねぎの大ヒット漫画を手塚プロダクションがTVアニメ化した第1期。学年トップの貧乏高校生・上杉風太郎が、同級生で五つ子の中野姉妹の家庭教師を務め、互いに距離を縮めていく王道ラブコメです。監督は桑原智、シリーズ構成は大知慶一郎。OPは五つ子ユニット「中野家の五つ子」による「五等分の気持ち」、EDは内田彩「Sign」。どのヒロインが花嫁になるのかをめぐるミステリー性と、等身大の勉強・友情・恋の描写がバランスよく同居している点が魅力。第1期は作品のキャラ立てと関係性の土台作りに徹し、軽妙なやり取りとテンポの良い演出で原作の人気を確固たるものにしました。放送は2019年1月11日~3月29日(TBSほか)。全12話構成です。
あらすじ
借金を抱える家計を助けるため、学年トップの成績を誇る上杉風太郎は高収入の家庭教師の仕事を引き受ける。ところが、教え子は同級生で風太郎に最初からよくない印象を持つ中野五月を含む、容姿はそっくりだが性格も勉強の得意不得意もまったく異なる五つ子だった。勉強ぎらいの五つ子はことごとく反発し、授業は空回り。風太郎はそれぞれの得意分野やつまずきを見極め、個別に信頼を勝ち取ろうと奔走する。やがて林間学校、文化祭、テスト勉強といった学校行事を通じ、五人の本音や抱える事情が少しずつ明らかに。彼女たちが勉強に向き合う姿勢にも変化が生まれ、風太郎自身もまた人間的に成長していく。未来の結婚式当日に花嫁が五つ子のうち誰かであることだけが示され、視聴者はさまざまな伏線からその一人を推理していく。
作品の見どころ
五人五様の個性と関係性の変化を丁寧に積み上げ、誰を応援しても正解に感じられる群像劇的な設計が秀逸。演出面では各話末の引きやOP・EDの配置が巧みで、五つ子それぞれの感情の揺らぎを音楽面でも補強。OP「五等分の気持ち」は明るいコーラスで5人でひとつというテーマを体感させ、ED「Sign」はラストカットの余韻とシンクロしてしっとり着地させます。原作は2022年時点で累計2,000万部を突破するヒット作で、考察合戦・聖地巡礼など二次的な盛り上がりも顕著でした。アニメ第1期はそこへの入口として、各ヒロインの好きになる瞬間を丁寧に描き、以降の第2期・劇場版へ期待をつなぐ出来。テレコム色の強い学園ラブコメの王道と、ミステリー的推理遊びの両立が醍醐味です。
どの地域が舞台になったか
愛知県東海市。特に名鉄・太田川駅周辺(駅前ロータリーや高架駅舎)が背景として繰り返し描かれるほか、日本福祉大学 東海キャンパスの周辺景観がモデルとして知られます。太田川駅(〒477-0031 愛知県東海市大田町後田1148/別資料では後田52の表記もあり)は五つ子の待ち合わせ・通学など日常カットで頻出。日本福祉大学 東海キャンパスは〒477-0031 愛知県東海市大田町下浜田1071。第1期の通学・放課後の集合シーンで視認でき、2期以降・劇場版まで一貫して東海市エリアが舞台の基層になっています。
愛知県名古屋市『ジオブリーダーズ』
放送年月:1998年5月~10月(File-X)/2000年7月~2001年3月(File-XX) ・話数:全3話(File-X)+全4話(File-XX)
伊藤明弘のガンアクション漫画を原作とするOVA二部作。民間警備会社「神楽総合警備」の面々が、情報体化け猫と死闘を繰り広げる痛快アクションです。File-X Get Back the Kitty(1998、音楽:中川幸太郎)、File-XX 〜破壊天使たち〜(2000–2001、音楽:岩崎元是)。制作はChaos Project。テンポの良い銃撃戦、重量感のあるカーチェイス、職業人としての矜持をユーモアで包む語り口が特徴で、日本一薬莢が多い漫画のアニメ化らしい火力が売り。短尺に濃厚な見せ場を詰め、90年代末のOVA文化が持つ尖りをいまに伝える一本です。
あらすじ
舞台は綾金市――中部地方にある海に面した大都市。神楽総合警備は、表の顔は総合警備会社だが、実態は化け猫対策のスペシャリスト集団だ。新人の田波洋一は、個性派だらけの女性隊員に翻弄されながらも各地の事件へ出動。化け猫たちを率いる「黒猫」が引き起こす爆破・ハイジャック・電子攻撃に、神楽は街のために立ち向かう。政府側の対策部隊ハウンドと利害が衝突し、ときに協力もする複雑な関係のなか、綾金市には銃声が絶えない。情報戦と肉弾戦が入り乱れるなかで、田波はここで生きる覚悟を決めていく。OVAは主要キャラの魅力と綾金のスケール感を短編連作で描き切る。
作品の見どころ
綾金市のモデルは名古屋市および周辺都市とされ、名古屋市公会堂(昭和区)など、実在施設を想起させる意匠が随所に見られます。分厚い銃火器描写と、地下街・都市高速・港湾といった都市の機動性を活かしたアクションの設計が快感。90年代OVAならではの作画の勢い、フィルムの質感もポイントです。聖地探訪の観測記事でも綾金=名古屋モデルが継続的に検証され、作品世界の地続き感を後押ししました。
どの地域が舞台になったか
愛知県名古屋市(モデル地)。架空都市綾金市として表現されます。エピソード全般で市街地・港湾・公会堂(モデル:名古屋市公会堂)などが登場。作中の「綾金市公会堂」は名古屋市公会堂(名古屋市昭和区)を想起させる構図で描かれ、銃撃戦の舞台にもなります。
愛知県名古屋市『DEVIL SURVIVOR2 the ANIMATION』
(C) Index Corporation/「デビルサバイバー2」アニメーション製作委員会
放送年月:2013年4月~6月/話数:全13話
アトラスの同名ゲームを原作に、ブリッジが制作した終末サバイバル群像劇。監督は岸誠二、シリーズ構成は上江洲誠。突如出現した未知の侵略者セプテントリオンに対し、悪魔と契約した若者たちが日本各地で戦います。情報端末と都市インフラ、群衆心理と選択の重さを絡める語り口が現代的で、キャラクター同士の関係性が毎週の選択で揺れ動く構造が見どころ。MBS/TBS系「アニメイズム」で放送。ゲームの7日間という枠組みをTVシリーズ用に再構成し、都市ごとの局地戦をテンポよく畳みかけます。
あらすじ
高校生の久世響希は、親友の志島大地、新田維緒とともに、謎の映像配信サービス「ニカイア」に登録したことをきっかけに死ぬ瞬間の映像を受け取る。直後に大規模災害が日本を襲い、三人は悪魔の力を行使して生き延びる術を得る。政府機関JP’sの天才・峰津院大和の指揮下、東京・大阪・名古屋で連日現れるセプテントリオンに挑む若者たち。仲間の死、裏切り、理想の衝突――それでも誰かが選択しなければ明日は来ない。終末まであと7日。人類の存亡を賭けた戦いのなかで、響希は自分の選ぶ正義を見つけていく。
作品の見どころ
原作ゲームのルート要素をTV向けに圧縮しつつ、群像劇の緊張感をキープ。サウンドは中川幸太郎、OPのエレクトロポップとEDのロックが選択の疾走感と余韻を色分けします。名古屋(栄)では名古屋テレビ塔(現・中部電力MIRAI TOWER)やオアシス21、金時計などのランドマークが登場し、異形との戦闘を生活圏の現実に引き寄せる演出が機能。各都市ごとに色の違う美術設計・カメラワークが、連続する決戦に視覚的な変化を生みます。
どの地域が舞台になったか
愛知県名古屋市(栄・名駅周辺)。劇中のJP’s名古屋支部や名古屋戦のシークエンスで、名古屋テレビ塔(名古屋市中区錦3-6-15先)やオアシス21(名古屋市東区東桜1-11-1)、名古屋駅「金の時計」(名古屋市中村区名駅1-1-4付近)が描かれます。登場話は中盤の名古屋戦パート(JP’s各都市拠点の描写)で確認できます。
愛知県名古屋市『エウレカセブンAO』
FLOW 「ブレイブルー」MUSIC VIDEO (TVアニメ『エウレカセブンAO』オープニングテーマ)
放送年月:2012年4月~9月(本放送)/2012年11月(23・24話追加放送)・話数:全24話
『交響詩篇エウレカセブン』の続編としてボンズが制作。沖縄・磐戸島に暮らす少年アオが、人型兵器ニルヴァーシュで未知の存在シークレットと戦うSF。監督は京田知己さん。前作の理想への希求を引き継ぎつつ、本作は理想と現実の衝突を先鋭化。国家・軍事・家族といった重めの命題を、爽快なメカアクションと謎解きで牽引する構成です。
あらすじ
島に暮らすアオは、失踪した母エウレカの面影を胸に、故郷を守るためゲネラシオン・ブルのメンバーとして戦線へ。各地で頻発するスカブバースト、世界を揺るがす政治的緊張、そして時空の歪みがもたらす世界線の干渉――。アオはニルヴァーシュとともに、少年の枠を超えた責任と選択を迫られていく。やがて物語は前作キャラクターの因縁を射程に収め、複数の思惑が交差する最終局面へ。失われた日常を取り戻すための戦いは、世界の構造そのものに挑む試みへと変わっていく。
作品の見どころ
ボンズ流空を駆けるメカアクションの気持ちよさに加え、OP/EDの選曲が作品のムードを強固に規定。Hemenwayの軽やかな疾走とFLOWの昂揚感が、二段ロケットのように物語を押し出します。作中の別世界では「名古屋が日本の首都」として言及されるなど、設定の遊び心も話題に。政治地図の再構築や各国の思惑の描写は、ロボットアニメの世界観で観せる楽しさを存分に味わわせてくれます。
どの地域が舞台になったか
愛知県名古屋市(設定としての首都)。本編は沖縄・各国を転戦しますが、作中設定で名古屋が首都とされる言及が複数回登場します(別世界の日本)。名古屋という固有名の使い方がユニークで、シリーズのif設定を印象づける要素になっています。
愛知県名古屋市『化物語』
©西尾維新/講談社・アニプレックス・シャフト
放送年月:2009年7月~9月(TV第1~12話)/2009年11月~2010年6月(Web第13~15話)/話数:全15話
西尾維新の〈物語〉シリーズ最初のアニメ化作品。制作はシャフト、総監督・新房昭之。怪異と呼ばれる超常的現象に関わった高校生・阿良々木暦とヒロインたちの関係を、会話劇と前衛的映像で描く。OPは各ヒロイン楽曲(「staple stable」「帰り道」「ambivalent world」「恋愛サーキュレーション」「sugar sweet nightmare」)、EDはsupercell「君の知らない物語」。キャラごとにOPを差し替える構成、実験的なタイポグラフィ、シャープなレイアウトが当時の深夜アニメの美学を更新。全15話(TV12+Web3)という配信前提の設計も先駆的でした。
あらすじ
春休みに吸血鬼の影響で不死性を得た阿良々木暦は、新学期にクラスメイトの戦場ヶ原ひたぎと出会う。彼女は重さを失った少女。暦は怪異の専門家忍野メメの助言を受けつつ、ひたぎの言葉と真摯に向き合い、彼女を縛る原因へ踏み込む。続いて迷子の少女・八九寺真宵、バスケ部のエース・神原駿河、神社に巣喰う蛇の怪異に絡め取られた千石撫子、そして完璧ゆえに歪みを抱えた羽川翼――。暦は、彼女たちの怪異に隠れた本音と痛みに寄り添い、解決の糸口を探る。大量のモノローグと会話、象徴的なカット割りが、恋と怪異の等式を鮮やかに紡いでいく。
作品の見どころ
会話劇の極北ともいえるテンポ、文字情報の洪水、人物の極端な寄りと静止画を駆使した動かないのに動いて見える演出が革新的。各ヒロインのOPを差し替える方式もキャラの色を視聴体験へ直結させました。ED「君の知らない物語」は当時のアニソンシーンを象徴する名曲として語り継がれています。聖地的には、主人公の通う高校のモデルとして「名古屋国際会議場」の意匠が活用されていることが指摘され、後年の〈物語〉シリーズでも名古屋・大須の交差点(赤門通×裏門前町通)がモチーフとして登場。意図的にどこでもない空間を設計しつつ、実在の造形を抽象化して取り込む手つきが見事です。
どの地域が舞台になったか
愛知県名古屋市(中区)。直接的に名指しは少ないものの、名古屋国際会議場(名古屋市熱田区熱田西町1-1)の外観意匠が高校のモデルとして参照されたとされ、シリーズでは大須(赤門通・裏門前町通交差点)の信号機モチーフも確認されます。該当エピソードはシリーズ序盤の学校カットや、〈物語〉シリーズ・セカンドシーズンでの街カット等。
“ポップ×カルチャー&ポップ×ローカル”を軸に、アニメ/マンガ/ゲーム/Vtuber/音楽などのエンタメ情報を発信しています。