ポップカルチャーの情報を
発信するWebメディア

ポップカルチャーの情報を発信するWebメディア

▶︎ ぽぷかる研究所とは?

ニュース

2025.08.31

愛知発『メダリスト』が大会の“顔”になる!「ISUグランプリファイナル」つるまいかだ氏起用の意味

アニメ ローカル 聖地
愛知発『メダリスト』が大会の“顔”になる!「ISUグランプリファイナル」つるまいかだ氏起用の意味
愛知県公式サイトより
Xで共有 Facebookで共有 はてなで共有 LINEで共有

愛知県は、2025年12月に開催される「ISUグランプリファイナル愛知・名古屋2025」に向け、県や名古屋市、関係団体でつくる支援委員会を設立し、機運醸成の取り組みを進めている。

その一環として、日本スケート連盟監修のフィギュアスケート解説冊子(5万部)を制作。表紙は、愛知出身で『メダリスト』を手がける漫画家・つるまいかだ氏の描き下ろし作品で、誌面にもアニメ『メダリスト』の画像が採用された。県内リンクやスケート教室、各種イベントで配布される予定だ。

『メダリスト』について

『メダリスト』は講談社『月刊アフタヌーン』で2020年7月号より連載中のフィギュアスケート漫画。夢破れた青年・司と、見放された少女・いのり。氷の上で出会った2人がタッグを組み、フィギュアスケートで世界を目指す物語だ。

著者のつるまいかだ氏は愛知県出身。『鳴きヤミ』で即日新人賞「in COMITIA123」優秀賞を受賞し、『メダリスト』で漫画家としてデビューした。アニメ『メダリスト』はテレビ朝日系列“NUMAnimation”枠で第1期が2025年1月~3月に放送。第2期は2026年1月から(予定)と発表されている。

名古屋で2度目の開催となる、ISUグランプリファイナルとは?

ISUグランプリファイナルは、国際スケート連盟(ISU)が主催する国際大会。グランプリシリーズ6大会の上位成績者にのみ出場権が与えられる世界最高峰の競技会の一つであり、ミラノ・コルティナ2026冬季オリンピックの選考対象の一つと位置づけられるなど、その競技的意義は高い大会だ。

日本開催は過去に5回(東京[2000、2005、2009]、福岡[2013]、愛知[2017])。愛知・名古屋での開催は2回目となる。前回(2024年12月、フランス・グルノーブル)では日本人選手が男女計9名出場し、男子2位:鍵山優真、男子3位:佐藤駿、女子2位:千葉百音、女子3位:坂本花織、ペア2位:三浦璃来/木原龍一と上位入賞を達成。今大会でも日本人選手の活躍が期待される。

地元クリエイターが“大会の顔”を担う意味

今回のニュースで特筆したいのは、“地元発の表現”が公共の広報物の正面に立ったことだ。応援ポスターを描いたつるまいかだ氏は愛知県出身であり、作品『メダリスト』は、フィギュアスケートの厳しさと美しさ、努力と夢を真正面から描き続けてきた。県が制作する解説冊子の表紙に、その描き下ろしポスターを採用したことは、単なる“人気作の力を借りる”以上の意味を持つ。すなわち、「この街の大会を、この街の作家の視点で応援する」という当事者意識の表明であるともいえる。

そしてなにより、広報物は観客のファーストコンタクトであり、大会名や日付だけでは届かない温度を読者にも届ける重要な役割を持つ。ましてや、地元ゆかりの作者が描いた絵柄であれば、県民にとってその一枚は「知っている」「好きだ」「誇らしい」といった複合的なシグナルになり得る。“自分ごと化”のスイッチを押すうえで、地元クリエイターの起用は極めて合理的な選択だったといえる。

同じ世界観で“街を染める”という発想

今回の解説冊子は5万部。配布は、子どもや保護者が足を運ぶスケート教室、日常的に利用者が集まる県内のアイスリンク場、来場者が多い各種行事と、接触頻度の高い導線が押さえられている。ここで重要なのは、応援ポスター→冊子の表紙→会場周辺の掲出・配布という流れで、同じビジュアルに繰り返し出会う設計になっている点だ。

人は同じイメージを場所を変えて繰り返し視認すると、その情報を“街の景色”の一部として記憶しやすくなる。駅で見た絵をリンクでも見て、さらに冊子として手元に残す。視覚的統一は、単に“おしゃれ”という以上に、記憶の定着と行動の想起(=大会に行く、配信を見る、家族で話題にする)を導く力を持つ。今回の取り組みは、その王道を押さえているともいえる。

正確さと親しみやすさの両輪

なお、今回の制作物における監修は公益財団法人日本スケート連盟が担った。競技の見どころやルールの説明において用語や表現の正確性が担保されることは、初めての観戦者にとって大きな安心材料。一方で、アニメ『メダリスト』の画像を誌面に適所で用いることで、子どもにも親しみやすく、非ファン層にも入りやすい“読ませる冊子”になっている。正確さ(連盟監修)×親しみ(作品ビジュアル)という両輪の設計は、観戦への入り口として非常に有効であり、地方自治体がご当地のアニメとコラボすることで、これまでも多くの経済効果が注目されてきている(『らき☆すた』『宇宙よりも遠い場所』など)。

地元の“ロールモデル”として

もう一つ、見逃したくないのは次世代への示唆だ。地元出身の作者が、地元で開かれる世界大会の“顔”を描く…。この事実は、県内の子どもたちに「ものづくりでスポーツを支える」というキャリアのロールモデルを提示することにもつながる。アスリートになる道だけではなく、描く・作る・伝えることでスポーツの世界に関わる道がある。5万部の冊子は、その可能性が物理的に届く規模でもある。

もちろん、作者の創作意図は作者自身の言葉に委ねるべきで、第三者が勝手に意味づけを盛ることは避けなければならない。ただ、地元の創作が公共領域に届いたという事実自体が、十分に語る力を持っている。

まとめ

地元クリエイターの起用、連盟監修の正確さ、配布導線の設計。この三点がそろったことで、愛知・名古屋での世界大会に向けた観客育成の下地が整いつつある。“街の至る所で同じ世界観に触れる”という地道な積み重ねは、やがて12月のIGアリーナに向かう足を確実に増やし、作品そのものの魅力を伝える意味でも一石二鳥といえよう。作品と競技、地元と世界。その“交差点”に、今回の冊子は立っている。

各種概要

1大会概要

国際スケート連盟(ISU)が主催する国際大会で、グランプリシリーズ6大会において、上位成績を獲得した選手のみに出場権が与えられる世界最高峰のフィギュアスケート競技会の一つ。

主催:国際スケート連盟

主管:公益財団法人日本スケート連盟

協力:愛知県スケート連盟(予定)

後援:愛知県、名古屋市、テレビ朝日(予定)

開催時期:2025年(令和7年)12月4日(木曜日)~7日(日曜日)

会場:IGアリーナ

実施種目:男子シングル、女子シングル、ペア、アイスダンス 

2大会の特徴

(1)2026年2月に開催されるミラノ・コルティナ2026冬季オリンピックの選考対象の一つとなる大会。

(2)日本では過去に5回(東京[2000年、2005年、2009年]、福岡[2013年]、愛知[2017年])開催されており、愛知県・名古屋市での開催は2回目。

(3)2024年12月にフランス・グルノーブルで開催された前回大会では、日本人選手が男女計9名出場するとともに、上位入賞を果たしていることから、今回も日本人選手の活躍が期待される。

<男子>2位:鍵山 優真 3位:佐藤 駿

<女子>2位:千葉 百音 3位:坂本 花織

<ペア>2位:三浦 璃来、木原 龍一

<参考2>支援委員会について

名称:ISUグランプリファイナル国際フィギュアスケート競技大会2025愛知・名古屋開催支援委員会

設立:2025年3月25日

会長:愛知県スポーツ局長

副会長:名古屋市スポーツ市民局長

委員:愛知県観光コンベンション局観光振興課長、名古屋スポーツコミッション事務局長、愛知県スケート連盟副理事長、名古屋テレビ放送株式会社 ビジネス推進局セールスソリューション部長

<参考3>スケート教室について

主催:ISUグランプリファイナル国際フィギュアスケート競技大会2025愛知・名古屋開催支援委員会

対象:愛知県在住の小学生、中学生でスケートの経験がある方

定員:各回80名

日時・場所:下表のとおり

引用元:https://www.pref.aichi.jp/press-release/gpf2025-kaisetsu.html

“ポップ×カルチャー&ポップ×ローカル”を軸に、アニメ/マンガ/ゲーム/Vtuber/音楽などのエンタメ情報を発信しています。

おすすめ記事

タグ一覧